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環境省、公共設備の調整力活用等に3分の2補助。自治体新電力支援へ

2021年5月17日、環境省が「公共施設の設備制御による地域内再エネ活用モデル構築事業」の公募を開始しました。これは、地域新電力を中心に、公共設備を活用した電力の需要調整モデルの構築を支援するものです。廃棄物発電や上下水道施設といった公共の設備を調整力として利用し、地域の再エネを有効活用することを目的としています。

 (出典:一般社団法人環境技術普及促進協会)

補助の対象となるのは、再エネ発電設備や蓄電池、電気自動車のほか、自営線や熱導管設備などです。要件として、再エネ発電設備から複数の公共施設に電力を供給することや自営線を活用すること、地域新電力が中心となってエネルギー需給制御システムを構築することなどが挙げられています。

そのため、申請できる主体は、地方公共団体単独か民間企業との共同申請などに限られています。補助金の交付額は補助対象経費の3分の2。2021年5月17日から6月17日までの約1ヶ月間が公募実施期間です。詳細は執行団体である一般社団法人環境技術普及促進協会のこちらのウェブサイトをご確認ください。

 

苦境の地域新電力、補助事業で活性化を後押し

そもそも「地域新電力」とは、地域内の発電を利用して公共施設や民間の需要家などに電力を供給する地域密着型の小売電気事業者を指します。自治体による出資がある場合には「自治体新電力」と呼ばれることもあります。

2013年、群馬県中之条町が6割を出資する一般財団法人中之条電力の設立をきっかけに、国内でも多くの地域新電力が設立されました。地域密着型のスタイルでHEMSなどさまざまな事業を展開する福岡県のみやまスマートエネルギー株式会社は、大きな注目を集めました。

しかし、近年は地域新電力にとって逆風の状況となりつつあるようです。小売電気事業者の価格競争は激しさを増し、思うような顧客獲得が進まなかったことなどによって、みやまスマートエネルギー株式会社は一時債務超過に陥りました。また、秋田県鹿角市の株式会社かづのパワーは、2020年末から続いた日本卸電力取引所(JEPX)の高騰を受けて事業を休止しています(2021年5月28日現在)。

今回の環境省の補助事業は、地域新電力を核とした地域の再エネ活用のモデルを構築しようとするものです。地域新電力の逆風を振り払い、エネルギーの地産地消や地域の活性化の後押しとなるよう期待されます。

 

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