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2030年の発電コスト検証、電力システム統合後の試算も発表!

2021年7月12日、資源エネルギー庁が、約6年ぶりに発電方式別の発電コストの試算結果を発表しました。今回の目玉は、それぞれの発電方式が電力システム内に統合された場合のコストへの影響が考慮された点です。

発電コストの傾向を掴む「モデルプラント方式」

資源エネルギー庁の発電コスト検証ワーキンググループは7月12日、発電方式別の発電コストを発表しました。計算式や考え方は、前回の2015年と同じ「モデルプラント方式」が踏襲されました。

「モデルプラント方式」では、電源方式ごとに標準的な発電所(モデルプラント)を更地から新設、運転するコストを積み上げます。このコストを発電量で割り返し、1kWhあたりの発電コストを算出します。

そのため、基本的には発電所の立地や系統制約などの条件は考慮されませんが、発電方式ごとのコストの傾向を掴むのに役立ちます。2030年に向けたエネルギー政策を議論するための材料として位置付けられています。

 

太陽光の発電コスト低減が顕著に

第7回発電コスト検証ワーキンググループによると、2030年の発電コスト試算の概要は以下の通りです。

(画像出典:第7回発電コスト検証ワーキンググループ

事業用太陽光発電を例に挙げると、モデルプラントの規模は250kWとされています。設備費は現在よりコストダウンするとされた一方、工事費は現状のままとされました。こうしたさまざまな条件に対し、ある一定の前提によるコスト試算であるという点に留意したいと思います。

そのうえで、事業用・住宅用太陽光発電の試算コストの低減は顕著だといえるでしょう。前回の2015年時点では、事業用が12.7~15.6円/kWh、住宅用が12.5~16.4円/kWhでした。今回は、それぞれ8円台前半~11円台後半、9円台後半~14円台前半と大きく下がっています。

 

 電力システム全体のコストも考慮した「電源別限界コスト」とは

さて、続く8月3日の第8回会合では、公表されたばかりの第6次エネルギー基本計画素案のエネルギーミックス(電源構成)が早速検証に反映されました。(参考『第6次エネルギー基本計画素案、再エネ大きく伸長。省エネも深掘りへ | REiVALUE Blog』)

ここで注目したいのは、それぞれの発電方式が電力システム上で運用される場合の発電コストへの影響も考慮されたということです。

太陽光や風力といったさまざまな発電方式を新たに電力システムに組み込み、運用するにはコストが必要です。これを「システム統合費用」と呼びます。今回は、このシステム統合費用を反映した「電源別限界コスト」が試算されたのです。

最新の2030年のエネルギーミックスを想定した電源別限界コストは以下の通りです。

(画像出典:第8回発電コスト検証ワーキンググループ

この試算結果によると、ガス・石炭火力は電力システムへの統合前後でコストが変わらないのに対し、太陽光(PV)や風力は統合するとコスト増になることが示されています。

こうした電源別限界コストは今後さらに検討が深められていくと思われますが、再生可能エネルギーの主力電源化に向けては、電源別限界コストの一層の低減も求められるでしょう。

 

本ブログでは、こうした委員会による検証などについてもわかりやすく解説していきます。脱炭素対策をお考えの方は、専門知識の豊富な当社スタッフがサポートさせていただきます。どうぞお気軽にお声かけください!

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