環境省と経済産業省が、2022年度予算の概算要求を発表しました。2050年のカーボンニュートラル実現や2030年の温室効果ガス46%削減といった目標に向け、脱炭素を促進する施策が新設・増強されています。各省の概算要求のポイントを抜粋してご紹介します。
環境省、4つの重点施策を新設
「脱炭素社会」「循環経済」「分散型社会」への“3つの移行”を推進するとして、新規予算事業を計上しています。重点施策とされる4点は以下の通りです。
①地域脱炭素移行・再エネ推進交付金(200億円)
脱炭素先行地域づくりに取り組む地方公共団体等を継続的に支援。再エネ発電設備や熱利用設備、蓄電池などの基盤インフラ設備、ZEB・ZEHなどの省CO2設備への導入を支援します。
②CO2削減比例型中小企業向け支援事業(10億円)
高効率空調機やボイラーの燃料転換など、脱炭素に取り組む中小企業の設備投資を支援。交付金はCO2削減量(トン-CO2)に応じて配分される予定です。
③食とくらしの「グリーンライフ・ポイント」推進事業(10億円)
家庭のライフスタイルの転換を促進するため、地産地消や旬産旬消費といった“くらし方”を対象としたポイントを発行。発行の方法は地方公共団体や企業によって異なります。
④電動車×再エネの同時導入による脱炭素型カーシェア・防災拠点化促進事業(10億円)
地方公共団体の公用車としてのEVをカーシェアリンスしたり、エアコンのサブスクリプション方式の利用を促進します。
中でも「②CO2削減比例型中小企業向け支援事業」に関しては、CO2の削減量に応じた補助となる点がユニークです。仮に、削減量1トン-CO2あたり5,000円の補助が出た場合のイメージが下図のとおり例示されました。
(出典:環境省)
経済産業省、グリーン成長分野を大幅に増強
資源・エネルギー関連ではグリーン成長分野に7586億円が計上され、2021年度当初予算の6865億円から約720億円の増額となりました。
「イノベーション等の推進によるグリーン成長の加速」には、4812億円が配分されています。民間企業や地方公共団体への補助制度への反映が予想される3分野は、次の通りです。
①エネルギー利用効率の向上(1388億円)
内訳として、工場や事業所における先進的な省エネ設備の導入促進に350億円が計上されます。エネマネ事業者と共同で作成した計画に基づく省エネ促進の経費にも補助が実施されます。
②EV・FCV等の導入拡大(690億円)
昨年度の当初予算486億円から大幅な増額となりました。充電インフラや水素ステーションの配備に多く予算が振り分けられています。
③再エネの最大限導入(1322億円)
FIT・FIT制度や自己託送に頼らない再生可能エネルギーの長期契約に関する設備導入支援として「需要家主導による太陽光発電導入加速化補助金」に80億円が新しく計上されました。
脱炭素に関する分野についてはおおむね前年度当初予算から増額となりましたが、その中でも濃淡がつけられた印象を受けます。補助制度としての詳細が明らかになり次第、本グログでもご紹介していきたいと思います。
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