2021年12月8日、経済産業省で「カーボンニュートラルの実現に向けたカーボン・クレジットの適切な活用のための環境整備に関する検討会」の初会合が開かれました。カーボン・クレジット市場とは何か、なぜ検討が始まったのか、今後の注目点についてご説明します。
「カーボン・クレジット市場」とは?
カーボン・クレジット市場とは、CO2の削減価値をクレジットとして取引するマーケットです。国内のクレジット市場を活性化し、中長期的に脱炭素を促す取組みとして新設が予定されています。(参考『政府、CO2削減量の国際マーケット創設の動き。資金調達の枠組みも | REiVALUE Blog』)
(出典:経済産業省 第6回・世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会)
カーボン・クレジット市場の検討が始まった背景
カーボン・クレジット市場は、2050年カーボンニュートラルのための戦略のひとつ。11月19日に閣議決定された「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」では、成長戦略として位置付けられました。
また、令和3年度補正予算案でも「カーボンニュートラル・トップリーグ整備事業」として10億円が計上されています。脱炭素経営を目指す企業がクレジットを調達しやすい新市場が構想されています。
(出典:経済産業省)
現在のクレジット取引が抱える課題
本ブログでもたびたびご紹介してきたとおり、現在もクレジットなどの取引制度は複数存在しています。国内ではJ-クレジット制度や非化石証書、民間によるグリーン電力証書など。海外ではJCMなどといった制度もあります。
このように多くの制度があるため、それぞれのクレジット(環境価値)の違いや活用方法が利用者に伝わっていないという課題があります。特に、クレジットを購入する企業にとっては、何を調達すれば自社の排出量が下がるのか判断に困るところでしょう。
クレジットの需要・供給・流通の観点で整理
そこで、経産省は12月8日に「カーボンニュートラルの実現に向けたカーボン・クレジットの適切な活用のための環境整備に関する検討会」を立ち上げ、現存するクレジットなどの体系的な整理を行うことになりました。同検討会では、クレジットの需要・供給・流通の3つの観点から取引活性化に向けた議論が交わされる見込みです。
初会合で上げられた論点は、以下の6つ。
①自らの排出量削減とクレジットの活用の関係
②クレジットの種類と性質の整理
③国内各種制度での取り扱い
④クレジット活用の価値訴求
⑤新技術・行動変容の推進
⑥カーボン・クレジット市場の基本設計
カーボン・クレジット市場ではJ-クレジットやJCMが取引されると見られます。その他のさまざまなクレジットも用途別に整理され、より活用しやすくなると期待されます。
同検討会は、3回の会合を経て2022年春ごろにレポートを取りまとめる予定とのことです。本ブログでは、各会合やレポートについてしっかりお届けしていきます。
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