2021年1月に起こった電力市場の高騰。これによって発生した一般送配電事業者のインバランス収支を、小売電気事業者へ返還するという調整が始まりました。また、2022年度からは新たなインバランス料金制度がスタートする見込みです。
「収支相償の原則」に基づいて調整
昨年1月にかけて日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格が高騰し、これにともなってインバランス単価も高値で推移しました。高騰したインバランス料金によって一般送配電事業者は収益を得ましたが、この収益を小売電気事業者などの系統利用者へ返還するという調整が行われることになりました。(参考『2020年末のJEPX市場高騰を総括! 監視等委員会がレポート公表』)
その背景には、今後も将来にわたって多様な電力供給サービスのできる事業環境を支えようとする考え方があります。
また、一般送配電事業者のインバランス収支は「収支相償の原則」の考え方に基づいています。「収支相償の原則」とは、公益事業においては、必要な費用を大きく超える収益を長期間出し続けてはいけないとする考え方。得た収益は、受益者に還元すべきとする原則があるのです。
需要BGで原則6ヶ月間、毎月定額を差し引く
具体的な調整の方法は「2021年1月において、インバランス料金単価が200円/kWh及び市場価格の水準を超えた部分の負担額に応じて、バランシンググループ(以下「BG」という。)ごとに、将来の託送料金から毎月定額を差し引く形で調整を行うこと」とされました。
調整の対象となるのは需要BGで、調整期間は2022年4月から原則6ヶ月間です。適用を受けるには、2022年2月15日〜3月15日の間に各エリアの一般送配電事業者へ申し込む必要があります。
なお、申請日までにインバランス料金の支払いが完了していることが条件とされています。
2022年度から新しいインバランス料金制度に
2022年度からは、需給調整市場の開始に合わせてインバランス料金制度が新しくなります。
これまでのインバランス料金は、JEPXの「システムプライス」を参照して決められています。しかし、システムプライスは指標価格であり、市場の値動きを正しく反映しているものではありません。
出典)電力•ガス取引監視等委員会/新インバランス料金制度説明会 資料1「インバランス料金制度等について」
そこで、新たなインバランス料金制度では、調整力のkWh料金をインバランス料金に反映できるようになります。これによって、一般送配電事業者が調整力の対価として支払うインセンティブを、インバランス料金によってまかなうことができるようになるのです。
また、インバランス料金にそのタイミングでの電気の価値が正しく反映されるようになります。そのため、発電事業者や小売電気事業者に対して、電気の価値に応じた需給管理を促すことができるようになると考えられます。
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