3月1日、省エネ法や電気事業法などの改正案をまとめた「エネルギー使用合理化法改正案」が閣議決定されました。これらの法案が成立すれば、一定規模以上のエネルギーを消費する事業者などに対し、非化石エネルギーの使用割合の目標設定と定期報告が義務付けられるようになるとみられます。
脱炭素を軸とした抜本的な改正案
2022年3月1日に閣議決定された「エネルギー使用合理化法改正案」は、第6次エネルギー基本計画を踏まえ、複数の関連法をまとめた改正案です。その中から、今回は、省エネ法やエネルギー供給高度化法、電気事業法の改正のポイントについて説明します。
なお、省エネ法改正のポイントについては、こちらの記事も合わせてご覧ください。
(リンク:省エネ法の改正案、エネルギーの定義見直しで非化石への転換促す | REiVALUE Blog)
(1)省エネ法
省エネ法は、名称が「エネルギーの使用の合理化等及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」に改正される見通しです。改正のポイントは以下の通り。
エネルギー多消費事業者の非化石エネルギー目標を義務化へ
エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)の改正案では、一定規模以上のエネルギーを消費する事業者などに対し、非化石エネルギーへの転換に関する中長期計画の作成・定期報告を義務化することが盛り込まれました。
また、再生可能エネルギーの出力抑制時や電力需給がひっ迫する際などに、電力供給に合わせて需要をシフトさせるため、これまでの「電力の需要の平準化」という言葉を「電気の需要の最適化」というキーワードに変更します。
(2)高度化法
エネルギー供給高度化法も名称が「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」に変更されます。主な改正内容は次の通りです。
水素・アンモニアを非化石エネルギーに位置付け
エネルギー供給高度化法の改正案では、水素・アンモニアを正式に非化石エネルギーに位置付けます。また、CCS付き火力発電を法律上に位置付け、活用を促進するとされました。CCSとは「Carbon dioxide Capture and Storage」の略で「二酸化炭素回収・貯留技術」のことを指します。火力発電において発生するCO2を回収し、地中などに貯留し、大気に放出しない技術として関心が寄せられています。
こうした改正内容に伴って、法律の名称が「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」に変更されます。
(3)電気事業法
安定的なエネルギー供給のため、以下のような改正が予定されています。
大型蓄電池が電気事業法上の「発電事業」に
安定的なエネルギー供給を確保するために、大規模な蓄電システムを電気事業法上の「発電事業」に位置付けます。同時に、系統接続の環境整備も進めるとされました。また、過度な電源の退出を食い止めるために、発電所の休廃止を事前届出制とすることも予定されています。
これらの改正案は、2022年6月15日まで開催される第208回通常国会に提出される予定です。ここで可決されれば、2022年度からの施行が予定されています。当社では今後の動向にも注目してまいります。
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