2022年3月16日に起きた地震で複数の火力発電所が停止したことなどによって、連休明けの3月22日の東北電力・東京電力エリアの電力需給がひっ迫する事態となりました。火力発電所の損傷の状況や復旧の見通しなどについてまとめました。
地震の影響で停止した火力発電所の出力は?
このたびの地震により被害を受けられたみなさまに対して、心よりお見舞い申し上げますとともに、皆さまのご安全と被災地の1日も早い復興を心からお祈り申し上げます。
2022年3月16日、福島県沖を震源とする最大震度6強の地震の影響によって、震源地に近い複数の火力発電所などが停止するという事態に見舞われました。3月21日に経済産業省が明らかにしたところによると、東北電力エリアに送電する174.7万kW、東京電力エリアに送電する60万kW、両エリアに送電する100万kW、合計6基334.7万kWの発電所が停止したとされています。
今回の地震の影響で停止した火力発電所は、以下の通りです。
東北エリアに送電
- 原町火力発電所1号機(東北電力) 100万kW
- 新仙台火力発電所3号系列3-1号機(東北電力) 52.3万kW
- 相馬石炭・バイオマス発電所(相馬エネルギーパーク) 11.2万kW
- 仙台パワーステーション(仙台パワーステーション) 11.2万kW
東京エリアに送電
- 広野火力発電所6号機(JERA) 60万kW
東北エリア・東京エリアの両エリアに送電
- 新地火力発電所(相馬共同火力発電) 100万kW
(参考:経済産業省 2022年3月22日ニュースリリース)
結果的には停電を回避することに成功
このように複数の火力発電所が停止したうえに、連休明けの3月22日は気温が下がり荒れた天気となったことで、電気の需要が増大すると予想されていました。こうした背景があり、電力広域的運営推進機関(OCCTO)は前日の21日から、発電事業者や小売電気事業者に対し、発電所や自家用発電設備の焚き増し、デマンドレスポンスなどの協力を要請していました。
また、北海道から九州までの一般送配電事業者に対し、東北電力・東京電力エリアへの電力供給を指示するなどして、ひっ迫の解消に努めました。さらに、経済産業省が国民に対して節電の協力を依頼したこともあり、結果的には、計画停電を回避することができました。
火力発電所の損傷と今後の復旧の見通しは?
3月25日現在、公表されている火力発電所の損傷の状況は、次の通りです。
東北電力の原町火力発電所1号機は、ボイラー内部と燃料設備に不具合が発生しているとされています。また、JERAの広野火力発電所6号機は、主変圧器が損傷。相馬合同火力の新地発電所1号機は、石炭を運ぶ設備の一部などに損壊が確認されています。
復旧の見通しとしては、東北電力の原町火力発電所1号機は今年5月上旬となる見込みであると報じられました。また、JERAの広野火力発電所6号機は、4月7日に運転再開できる見通しが発表されています。(参考:広野火力発電所6号機の運転再開時期について | プレスリリース(2022年) | JERA)
※2022年3月28日追記:東北電力は3月25日、新仙台火力発電所3-1号(最大出力52.3万kW)を同日に運転再開したと発表しました。(参考:東北電力プレスリリース 新仙台火力発電所3-1号の運転再開について)
このほかの火力発電所についても、状況の精査が進めば復旧の見通しも徐々に明らかになると思われます。とはいえ、供給能力が十分ではない状態がこれからも続きますので、引き続き電力需給の状況には注意が必要だと言えるでしょう。
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