2022年の夏季、冬季の電力需給の見通しが発表されました。3月16日に発生した福島県沖の地震や世界情勢などの影響によって、全国の電力需給において依然として厳しい状況が続くと見られています。
7月は東北・東京・中部エリアで予備率3.1%
経済産業省が4月12日の第47回 電力・ガス基本政策小委員会で明らかにしたところによると、全エリアで10年に1度の厳しい暑さを想定した場合の需要(厳気象H1需要)に対する、2022年夏季の供給予備率は以下の通りです。
出典)経済産業省 第47回 電力・ガス基本政策小委員会 資料4より抜粋
供給予備率とは、電力需要のピークに対し、どれくらいの供給力があるかを示したもの。安定供給に必要な供給予備率は3%とされています。
しかし、2022年7月には東北・東京・中部エリアで供給予備率が3.1%と非常に厳しい見通しが示されました。
冬季は東京から九州の広いエリアで3%割れに
一方で、2022年冬季はさらに広いエリアで安定供給に必要な供給予備率3%を下回る予想が発表されました。
出典)経済産業省 第47回 電力・ガス基本政策小委員会 資料4より抜粋
特に、東京では2023年1〜2月の供給予備率がマイナスに転じています。中部から九州エリアまでも軒並み2%台と、電力需給が綱渡りの状況に直面するとの予想です。また、東北も3%を上回ってはいるものの、厳しい状況であることに変わりありません。
こうした電力需給の見通しは、2012年以来でもっとも厳しいものであるとされています。
なぜ電力需給はこれほど厳しい予想になったのか?
このような予測の背景として、3月の福島県沖地震の影響で停止した火力発電所が完全には復旧していないことが挙げられています。東北電力の原町火力発電所100万kW、相馬共同火力発電の新地火力発電所100万kWの合計200万kWは現在も停止しており、特に東北・東京の両エリアへ送電していた新地火力発電所の復旧見通しは未定となっています。(2022年4月21日現在)
(参考『2022年電力需給ひっ迫、停止した火力発電所の状況と復旧の見通し』)
また、西日本においては、九州電力の玄海原子力発電所の運転計画が変更され、停止期間が延長になったことも、供給力に大きな影響を及ぼしているとされました。
一方で、電力の需要サイドでは、コロナ禍からの経済回復などにより昨年度と比べて電力使用量が増加の傾向にあるとされています。さらに、今夏の平均気温は北・東・西日本で「平年より高い」とされ、空調などによる電力需要が伸びるとも見られているのです。
需給の双方で急がれるひっ迫対策
こうした予想に対し、経産省は昨年度も実施した「kW公募」「kWh公募」を通して供給力の確保を図る考えを示しました。2020年末から2021年初頭にかけても同様の公募が行われ、一定の実績が見られたことから、今夏に向けても公募を実施すると見られます。
需要サイドに対しては、さらなる節電に加え、セーフティネットとしての計画停電の準備を進めるとされました。また「電気事業法に基づく電気の使用制限も含めたあらゆる需要対策の準備を進めていく」としており、需要サイドにおいても何らかのアクションが取られていくと予想されます。
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