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最終保障料金、毎月の「エリアプライスを反映」で見直し案固まる

Transmission tower and raising sparkline chart representing electricity prices rise during global energy crisis.

最終保障料金の見直しについて、検討が進展しました。5月31日の制度設計専門会合では、毎月のエリアプライスの単純平均を反映する方向性がおおむね固まりました。

 

最終保障件数はこの5月で跳ね上がる

電力・ガス取引等監視委員会は2022年5月31日、第73回 制度設計専門会合で、最終保障料金の見直しについて、日本卸電力取引所(JEPX)のエリアプライスを反映することで合意しました。

これは、昨今の燃料価格の高騰などを受け、市況の電気料金が値上がりしていることから、最終保障料金の方が割安な状態となり、最終保障契約の件数が急増していることへの対策として検討されていたものです。

この経緯については、こちらの記事でより詳しくご説明しています。ぜひ合わせてご覧ください。(リンク:最終保障供給、インバランス料金か卸市場価格のどちらかを反映へ

 

足元の最終保障契約の件数は、下図の通りです。5月20日現在、すでに前月の2倍を上回る13,045件にまで急増しています。

出典)経済産業省 電力・ガス取引等監視委員会 第73回 制度設計専門会合 資料7より抜粋

 

エリアプライス次第では大幅な値上げのリスクも

制度設計専門会合では、最終保障料金を現在の市場に見合った水準に引き上げるため、卸市場価格を反映させる案を提示していました。

5月末に開かれた会合では「計量月の最終保障供給料金に、前々月の21日~前月20日までの単純平均値を反映する」とエリアプライスの反映方法が具体化され、委員やオブザーバーによっておおむね合意されました。

出典)経済産業省 電力・ガス取引等監視委員会 第73回 制度設計専門会合 資料7より抜粋

 

また、補正項として[エリアプライス+託送の従量料金]と[最終保障の従量料金+燃料費調整単価]との差額を用いるとされた一方で、見直し後の最終保障料金の下限を大手電力の標準料金メニュー相当とすることも示されました。

 

こうした見直しを反映すると、各エリアの6月の最終保障料金は次のように試算されます(沖縄電力エリアは電力卸市場がないため対象外)。



出典)経済産業省 電力・ガス取引等監視委員会 第73回 制度設計専門会合 資料7より抜粋

 

これは、あくまでシミュレーションではありますが、各エリアで補正項に大きなバラつきが出ています。もっとも値上げ幅の大きい九州エリアでは、1kWhあたり5.05円/kWhの値上げとなっています。

注意すべきなのは、実契約では、これらの単価に再エネ賦課金の3.45円/kWhが加算されます。そのため、実際に需要家が最終保障料金を支払う断面では、従量料金単価がさらに高水準になることも予想されるのです。

なお、今回の会合では、最終保障の基本料金に関しては現在の料金を維するとされました。



最終保障の取り扱いを全国で統一すべきとの声も

その一方で、全国の一般送配電事業者の間で、最終保障契約の細かな取り扱いに違いがあることも指摘されました。具体的には、最終保障契約から通常の電力契約に戻る際の契約電力の扱いや、最終保障契約を解約する際の臨時精算金の有無などです。

今回の会合では、こうした取り扱いを全国で統一してほしいという意見も一部から挙げられました。

 

最終保障料金の見直しスケジュールについては、今回の会合でもまだ明らかにされませんでした。同会合の事務局は、できる限り速やかに実施したいという意向を示しており、近日中に固まるものと考えられます。本ブログでは、こうした見通しについても逐次お知らせいたします。

 

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