2019年8月、今年度第1回目となる非化石証書オークションが開催されます。この非化石証書を活用した電気は、再生可能エネルギー由来として扱われRE100の取組にも活用可能。
昨年2018年度の入札参加者は、第1回目が7者だったのに対し、第3回目は40者といううなぎ上りぶりです。非化石価値への関心の高さが伺えますね。
話題の非化石証書ですが、そもそもどういうもので、なぜ今注目を集めているのでしょうか。今一度おさらいしていきましょう。
「非化石証書」とは何か
実は、電気には3つの価値が存在するとされています。3つの価値とは、①環境価値、②産地価値、③特定電源価値です。
①環境価値とは、排出係数をゼロと謳うことができる価値。排出係数の低い電気が求められる昨今、小売電気事業者が環境価値の付随した電気を販売することで、需要家への訴求性がUPします。
②産地価値は、「〇〇県産の電気」と表示できる価値です。出身地産の電気を購入することで、ふるさと納税のように出身地を応援することもできますね。
③特定電源価値とは、特定の発電方法による電気を選択できる価値。例えば、再生可能エネルギーの中でも水力発電のみによって発電された電気を購入するなど、需要家は好きな発電方法を選ぶことができます。
②産地価値と③特定電源価値は、比較的イメージが沸きやすい価値ですね。このうち、①の環境価値をカバーするのが「非化石証書」です。
非化石証書のトラッキングシステム
電気の持つ3つの価値のうち、非化石証書によって取引される①の環境価値。少しややこしいですが、環境価値はさらに3つに細分化されます。「非化石価値」「ゼロエミ価値」「環境表示価値」という3つの価値が、非化石証書によってカバーされています。ちなみに、②産地価値と③特定電源価値は、PPAと呼ばれる電力取引によって売買が可能です。
2018年5月から開設された非化石証書の取引を行う非化石価値取引市場では、PPAによらない非化石証書の調達が可能になりました。
しかし非化石証書は、非化石価値取引市場を介して取引されます。さまざまな発電所で生まれた非化石証書が、市場というひとつの受け皿にいったんプールされます。つまり、「どこの発電所からの非化石証書なのか」という属性はその時点で消えてしまうのです。
これを解決するのがトラッキングシステム。2019年2月から実証が開始され、2019年8月は3回目の実施となります。ある非化石価証書がどの発電所で発生したのか、つまりどの発電所由来なのかを追跡するのが、このシステムの意義です。
次回、非化石証書のトラッキングシステムについて考えていきましょう。