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電力小売事業、その現状とプロセス

電力小売事業の今

2000年から始まった電力自由化。2016年4月、小売全面自由化といわれる家庭などの低圧部門の規制が取り除かれたことによって、新たに8,500万の需要家、8兆円の電力市場が開放されました。従来の大手電力会社(東京電力、関西電力など)ではない新電力の全体シェアは、直近2019年3月時点で約14.8%となっています。

電力小売事業に参入するには、経済産業省へのライセンス登録が必要。2019年8月8日現在、新たに5者が登録され計601の事業者が電力小売事業者として登録されています。さらに46件が審査中とのことです。電力小売事業のライセンス化以降、電力小売事業者は右肩上がりで増加を続けてきました。

しかし、2019年4月以降初めて減少。背景には、卸電力取引市場の価格高騰リスクや大手電力会社のいわゆる安値攻勢により事業編成を余儀なくされる状況があります。卸電力市場は、発電事業者や小売電気事業者などが電気の取引を行うことができる、日本で唯一の取引所。株式市場のように30分単位で電気が売買されています。この卸市場の価格高騰は、すなわち仕入原価の高騰。新電力にとっては大きなリスクです。もうひとつは、大手電力会社の対抗営業による過当競争。2019年3月末時点、大手電力子会社の供給エリア外シェアは、昨年度比2倍以上のペースで伸びています。

電力小売事業に必要なプロセス

電力小売事業には多くの必要なフローがあります。顧客への販売、契約、電源の仕入れ、電力需給管理、請求、回収といった一連のフローに加え、定期の官公庁への報告など。生活や事業運営に欠かせないインフラ事業であるからこそ、報告義務などがしっかりと定められています。

製造業に例えるなら、原材料の調達に当たるのが電源の仕入れ。再生可能エネルギーによる電源、火力発電による電源など、それぞれの電源の特性を考慮して調達を行う必要があります。通常、電源の契約は1年単位であることが多いですが、需要規模などによっては複数年の契約も存在します。

電力事業には「30分同時同量」というルールがあります。これは30分1コマの需要と供給を合わせなければならないというもの。電気は貯めることができないため、使う量と同じ量を同時に調達しなければなりません。このバランスを調整することを「需給管理業務」といい、電力事業の要とされています。需給管理業務は30分同時同量の達成、かつコストミニマムが求められる非常に重要な業務です。

次回は電力小売事業の要、需給管理業務について解説します。

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