サイトアイコン リアイバリュー株式会社

GX実現に向け、カーボンプライシングは「ハイブリッド形式」に

Cost about CO2 reduction - concept image with CO2 text against woodland and calculator.

GX(グリーントランスフォーメーション)の実現に向けた投資額は、今後10年間で150兆円を超えると試算されています。政府がこのほど示した「GX実現に向けた基本方針(案)」では「成長志向型カーボンプライシング構想」によって巨額の投資を導く考えが明らかになりました。



「GX実現に向けた基本方針(案)」とは

2050年カーボンニュートラル、2030年の温室効果ガス(GHG)46%削減といった中長期の目標に向け、GX(グリーントランスフォーメーション)の実現を目指す動きが活発化しています。政府は2022年12月22日のGX実行会議でGX実現に向けた基本方針(案)を提示しました。この方針案では、GXの実現に向けた今後10年間の取り組み方針がまとめられています。脱炭素に関しては、省エネや原燃料の転換、再生可能エネルギーの主力電源化、水素・アンモニアの導入促進など14の取り組みが挙げられました。

 

こうした取り組みを進めるには、巨額の投資が必要です。政府は、今後10年間で150兆円超の投資が求められる可能性もあると指摘しています。そこで、GX投資を官民協調で実施するために、以下の3つの措置からなる「成長志向型カーボンプライシング構想」を実行するとされたのです。

 

 

なお、これらの実施に必要な改正法案は次期通常国会に提出するとされ、詳細の規定の一部などについては2年以内に措置するという見通しも示されました。

 

カーボンプライシングに関する今後のポイント

この記事では、「成長志向型カーボンプライシング構想」の措置の中から、カーボンプライシングにスポットを当てて解説します。

 

そもそもカーボンプライシングとは、炭素排出に値付けを行い、GXに関連する商品やサービス、事業などの付加価値を向上させるものです。政府は、カーボンプライシングを利活用したGXに取り組むインセンティブとするため、20兆円規模の先行投資「GX経済移行債」(仮称)による支援などを通じて新たな仕組みを創設する考えを示しています。

 

(1)「排出量取引制度」の本格稼働

こうした考えのもと、まず「『排出量取引制度』の本格稼働」が挙げられました。「排出量取引制度」とは、企業のGHG排出削減目標の超過分を市場で売却したり、目標達成に足りない削減分を市場から調達したりする仕組みのことです。2023年度からGXリーグで試行的にスタートすることが決まっています。(参考:「GXリーグ」では排出量取引も。脱炭素の情報や資金集まる場となるか | REiVALUE Blog「排出量取引制度」は2026年度から本格稼働することを予定しており、予見性を高めるために5年程度の価格上昇見通しとすることが示されました。

 

(2)「炭素に対する賦課金の導入」

2028年度からは「炭素に対する賦課金」を導入し、GHG多排出産業だけでなく、より幅広い分野に対してGXを促す考えが示されました。当初は、化石燃料の輸入事業者などを対象に導入し、徐々に負担を上げていくことも打ち出されています。

 

 

(3)カーボンプライシングの実施等を担う「GX経済移行推進機構」(仮称)の創設

排出量取引制度を運営したり、賦課金などの徴収を実施する機関として「GX経済移行推進機構」(仮称)を創設することも明らかになりました。この機関では、2026年度の排出量取引制度の本格稼働に向けた実務や運営、監視なども行う考えが示されているため、比較的早期の創設が予想されます。

 

 

こうした方針から、今後のカーボンプライシングは「排出量取引制度」と「炭素に対する賦課金」のハイブリッド形式となる見込みです。GXリーグにおけるトライアルや今後の制度設計、価格帯などには十分に注目の必要がありそうです。本ブログでは、こうした動向について今後も逐次お届けしていきます。

 

当社は、経済産業省の「GXリーグ基本構想」に賛同しております。(参考:Reivalue株式会社は経産省「GXリーグ基本構想」に賛同しています)また、当社では、CO2排出量の算定から実調達までをサポートするコンサルティングサービスのほかにも、需要家さまの再生可能エネルギーの調達や電力のご契約周りに関するご提案も行っております。専門知識豊富なスタッフがご対応させていただきますので、どうぞお気軽にご相談ください!

モバイルバージョンを終了