需要家がFIT非化石証書を取引する再エネ価値取引市場の第4回オークションが、2023年5月25日に開催されました。CO2削減の取り組みが加速する中、注目される約定価格や入札総量が果たしてどうなったのか、速報します。
2022年度の再エネ価値取引市場 買い札は売り札のわずか13.5%
需要家が直接FIT非化石証書を調達できる再エネ価値取引市場では、2022年8月からこれまでに合計4回のオークションが開催されています。2023年5月25日に行われた、2022年度第4回オークションの入札・約定量と約定価格は下図の通り。最高約定価格と売り入札総量の伸びが目立ちます。
(FIT非化石証書の入札・約定量と約定価格の推移。日本卸電力取引所より筆者作成)
これまで開催された第1〜4回オークションのすべてで売り入札量が買い入札量を上回っています。第4回オークションの売り入札量に過去3回の約定量を加えた量(1,205.3億kWh)に対する買い入札量の全4回合計(163.1億kWh)の割合は13.5%です。つまり、FIT非化石証書には相当量の“売れ残り”が発生していることになるでしょう。なお、第4回オークションでは売り入札量が1,085.8億kWhだったのに対して、買い入札量(約定量)は43.7億kWhでした。
約定価格をみると、約定最高価格が4円/kWhとなり、前回の0.5円/kWhから大きく伸びています。FIT非化石証書は省エネ法の定期報告などにも活用が可能です。今年度の報告期限が7月末に迫る中、証書を必ず入手したいと考えた需要家が高値で入札したケースもあるかもしれません。
その一方で、約定最低価格は再エネ価値取引市場の最低価格0.3円/kWhで推移を続けています。なお、FIT非化石証書の最低価格は、2023年度初回オークションから0.4円/kWhに引き上げられます。この件についてもっと詳しく知りたいという方は、こちらの記事も合わせてご覧ください。(参考『FIT非化石証書の最低価格が0.4円に。2023年度初回オークションから | REiVALUE Blog)
非FIT証書は売り切れ続出 電力会社の争奪戦
(非FIT非化石証書(再エネ指定)の入札・約定量と約定価格の推移。日本卸電力取引所より筆者作成)
(非FIT非化石証書(再エネ指定なし)の入札・約定量と約定価格の推移。日本卸電力取引所より筆者作成)
さて、小売電気事業者のみが非FIT非化石証書を取引できる非化石価値取引市場においても、2023年5月23〜24日にかけて2022年度第4回オークションが行われました。こちらの結果は再エネ価値取引市場とは異なり、買い入札量が売り入札量を大幅に上回る“売り切れ”の状態が続いています。CO2フリーの電力メニューの提供や、高度化法の対応で非化石電源比率の向上が求められるなどの背景から、非化石価値取引市場では今後もこうした状況が続くと予想されます。