資源エネルギー庁は2023年5月25日、令和4年度排出係数に一部誤りがあったと発表しました。これによって、東京電力エナジーパートナーなど8社の小売電気事業者の排出係数と全国平均係数が修正となりました。この出来事の詳細と対策の見込みについてレポートします。
R4年度排出係数に誤り 全国平均係数も修正へ
資源エネルギー庁は2023年5月25日、総合資源エネルギー調査会の制度検討作業部会(第79回)で「電気事業者別排出係数(令和4年度実績)」の算定において一部誤りがあったと発表しました。
具体的には、電源開発株式会社が報告したCO2排出量が実際より多かったため、東京電力エナジーパートナーなど小売電気事業者8社の排出係数と全国平均係数が修正されました。排出係数が修正となった小売電気事業者は以下の8社で、基礎排出係数と調整後排出係数の双方が訂正されています。また、全国平均計数は修正前の0.000435(t-CO2/kWh)から、0.000434(t-CO2/kWh)に修正されました。
(令和4年度排出係数の誤算定について。出典:資源エネルギー庁)
電源開発株式会社は同作業部会で、今回の誤算定について謝罪するとともに、原因究明と再発防止に努めるとコメントしました。
温対法の特定事業者は至急電力会社へ確認を!
環境省が管轄する地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)では、温室効果ガスの排出量が一定量以上の特定排出者に対して、毎年7月末までに排出量を報告することを義務付けています。今回の排出係数の修正を受け、資源エネルギー庁は、前述の小売電気事業者8社が電気を供給している特定排出者に対して、8社からしっかりと事情を説明するよう求めました。
また、当社が環境省を通じて資源エネルギー庁の担当部署・電力基盤整備課に問い合わせを行ったところ、今回の出来事を重く受け止め、非化石証書の不足が発生していることを認識しているとコメントがありました。その一方で、余剰・不足分の非化石証書に対する措置は現時点では予定していないとのことでした(2023年6月27日現在)。
繰り返しになりますが、前述の小売電気事業者8社から電力供給を受けている温対法の特定排出者は、まず、小売電気事業者に対して今回の対応について確認することを強くおすすめします。