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東京都「スマートエネルギーエリア形成推進事業」②

2019年9月20日から受付開始となる、東京都「スマートエネルギーエリア形成推進事業」。ガスコージェネレーションシステムの補助額は、最大で2分の1です。今回は、仕様や要件をおさえながら、これからのエネルギーマネジメントのあり方を考えていきましょう。

助成内容の概要

「スマートエネルギーエリア形成推進事業」の対象となるのは、以下の3パターン。

①コージェネレーションシステム(CGS)と熱電融通インフラを新設:いずれも補助率1/2以内

②CGS単独の設置(条件付きで更新も可):補助率1/4以内

③熱電融通インフラ単独の設置(新設のみ):補助率1/2以内

(出所:東京都地球温暖化防止活動推進センター

「熱電融通インフラ」とは、CGSにより発生した熱または電力を複数の建物に送るための導管などを指します。対象となる経費は、設備の設計費、購入にかかる費用、工事費です。国や他の団体との補助金併用も認められていますが、その場合は補助額が減額となります。対象は民間事業者で、ビルオーナー、熱電供給事業者、ESCO事業者、リース事業者に加え、オーナーの同意書があればビルを全棟借りしたテナントも対象です。

CGSは燃料はガス、合計出力が50kW以上で、設置する建築物の最大デマンドの10%以上であること。つまり、最大電力(契約電力)が500kW以上の建築物が対象ということですね。高効率なCGSであることも要件とされていますが、その定義は次の通り。

2.17×発電効率(%)+排熱利用率(%) > 87(%)

逆算すると、発電効率が41%以上あれば、仮に排熱利用率が0%でも87%を超えます。多くのCGSが対象となることが予想されます。

問われるのは「自立分散型」

この事業がユニークなポイントは、ディマンドリスポンスと一時滞在施設機能を備える必要がある点です。これらはいずれも交付決定後の必要要件とされています。つまり、求められるのは、系統への依存度を下げると同時に、非常時の拠点となり得ること。従来の、ピークカット運用によるエネルギーコスト削減という目的と比べると、かなり趣きが異なります。

要件のひとつが、BEMSなどのエネルギーマネジメントシステムの導入、ディマンドリスポンス体制とエネルギーマネジメントに関する情報交換体制の構築です。エネルギーマネジメントのソフト面、つまり運用面のあり方がポイントとなります。

一時滞在施設とは、「事業所における帰宅困難者対策ガイドライン(平成24年9月10日 首都直下地震帰宅困難者等対策協議会)」によると、発災から最大3日間、帰宅困難者を受け入れ、食料、水、ブランケット等の支援を行う施設を指します。本事業ではこれに加え、公衆無線LANの無償利用ができることも要件になっています。

CGSのマルチユースによって、エネルギーマネジメントとBCP対策の両立を実現する「スマートエネルギーエリア形成推進事業」。これからのエネルギーマネジメントにおいては、自立分散型電源としての運用もキーポイントになるでしょう。インフラであり、ライフラインであるエネルギー。いま、CGSという存在が再び見直されています。

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