政府が2023年8月23日に開催したGX実行会議では、2026年度の本格稼働に向けて年度内の試行が予定されているGXリーグの「排出量取引制度」の現状が明らかになりました。すでに500社を超える企業が参画を表明しており、参加企業だけで国内のCO2排出量の4割を超える見通しです。排出量取引制度の試行について、今後のスケジュールも合わせて紹介します。
GXリーグにおける排出量取引とは
グリーントランスフォーメーション(GX)に取り組む企業が参画するGXリーグでは、企業間でCO2削減量を取引できる仕組みである自主的な「排出量取引制度(ETS、Emission Trading Scheme/System)」の導入が検討されています。排出量取引とは、CO2排出量の削減に取り組む企業が、削減目標を超えて削減した分を売却したり、目標達成のために足りない削減量を調達したりできる制度です。国が掲げる2030年度のCO2削減量46%(2013年度比)の目標値を超えて削減した分は「超過削減枠」として売却することもできます。
GXリーグにおける排出量取引は「GX-ETS」と呼ばれます。GX-ETSについてはこちらの記事でより詳しく説明しているため、ぜひ合わせてご覧ください。(参考:GX-ETSとは? 第1フェーズの概要や報告の内容決まる | REiVALUE Blog)
GXリーグの排出量取引試行に向けたスケジュール
(排出量取引制度とカーボン・クレジット市場のスケジュール。出典:GX実行会議)
2023年8月23日に開催された政府のGX実行会議では、GXリーグにおける今後の排出量取引の取り組みの見通しが示されました。GXリーグにおける排出量取引制度は2026年度からの本格稼働が予定されていますが、それに向けた2023〜2024年度の段階的なスケジュールは上図の通りです。
今年度は排出量取引制度を試行する期間と位置付けられており、参加企業は2023年9月29日までに排出目標を策定・提出することが求められています。実際に超過削減枠が取引開始されるのは、2024年10月末になる見通しです。
566社の参画で国内総排出量の4割超に
第1フェーズである排出量取引の試行段階においては、参加や目標設定などはすべて企業の自主性に委ねられていますが、8月23日現在ですでに566社が参加しており、これらの企業のCO2排出量を合計すると日本の総排出量の4割超を占めるとのこと。早くも、GXリーグにおける排出量取引制度が相当な規模に発展することが予想されます。
また、排出量取引制度を今年度から試行することに関して、政府は排出量取引制度に取り組む企業に対して抜本的な投資促進策を講じる考えも示しています。大規模な取引が予想されるGXリーグの排出量取引制度には、今後も注目する必要がありそうです。