以前、本ブログでもご紹介した「J-クレジット制度」。創出と活用の双方ともに多様化が進み、ニーズの高まりについてお伝えしました。今回はお問合せをいただいた中から「そもそもJ-クレジット制度とは何か?」という基本からおさらいしたいと思います。
「J-クレジット制度」とは?
「J-クレジット制度」とは、端的に言うとCO2などの温室効果ガスの削減分を売買できる仕組みです。実はこの制度、最近始まったものではなく、前身となる制度は10年以上前から存在していました。環境省主導による「オフセット・クレジット(J-VER)制度」と、経済産業省主導の「国内クレジット制度」の2つです。これらが2013年に一本化され「J-クレジット制度」が誕生。現在は、経済産業省・環境省・農林水産省によって運営されています。
「J-クレジット制度」の目的は、温室効果ガスの削減量をクレジット化し売買、さらなる省エネや低炭素投資などを促進、国内の資金循環を活発にすることです。J-クレジットを創出する側はクレジットの売却益を手にすることができ、活用する側は低炭素化のためのさまざまな用途に使うことができます。さらに、J-クレジット制度を利用した新たなビジネスも期待されます。
J-クレジットの創出と活用、求められるのはエネルギーの調達戦略
J-クレジットを創出するには、登録された「方法論」にしたがって手続きを踏む必要があります。「方法論」とは、適用範囲、排出削減・吸収量の算定方法及びモニタリング方法等を規定したもの。現在は、省エネルギー化、再生可能エネルギーの利用、森林管理によるものなど、60以上の「方法論」が登録されています。一例を挙げると、ボイラーやコージェネレーション、太陽光発電設備などの導入、バイオ燃料による系統電力の代替などです。方法論は随時見直しされており、今後はまだ登録のない新しい手段によるJ-クレジット創出も予想されます。
一方、J-クレジットの活用方法としては、カーボン・オフセットや温対法・省エネ法での活用、CDP質問書での報告などがあります。中でも再エネ発電由来のJ-クレジットは、RE100達成のために再エネ調達量としての報告が認められています。「RE100」とは、事業活動で使用する電力を、すべて再生可能エネルギーによるものとする国際イニシアチブです。現在、日本国内では23社(2019年9月10日現在)が加盟しています。
持続的な発展のために、使用するエネルギーを選択するという全世界的な潮流は、今後ますます強まることが予想されます。エネルギーの調達に関しては、コストはもちろん長期的な戦略も求められます。当社はエネルギーのプロフェッショナルとして、J-クレジットの創出・活用などトータルでのソリューションをご提案可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。