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部分供給に代わる「分割供給」、今年10月にも移行か。資源エネルギー庁

Hand of businessman hold light bulb with coin. Concept of Cost reduction and Reduce energy

経済産業省・資源エネルギー庁は、2024年6月17日に開催した電力・ガス基本政策小委員会で、部分供給に代わる新しい制度の案を示しました。案では、1つの需要地に2者が電気を供給する場合、一方の供給者を旧一般電気事業者に限らない「分割供給」という仕組みが提示されました。

 

電力自由化のために措置された部分供給

部分供給とは、1つの需要地に対して、複数の電力会社が電気を供給する方法です。電力自由化当初は、旧一般電気事業者と比べて新電力が調達できる電源は限られていたため、新電力の競争力を補完するための「当面の対策」として、部分供給という仕組みが設けられました。

部分供給を活用すると、1つの需要地に対して、新電力と旧一般電気事業者との2者で電気を供給できます。そのため、新電力はより多くの需要家に電気を送ることができるようになり、電力小売の活性化に役立つとして、活用されてきました。



資源エネ庁が部分供給を一部停止

資源エネルギー庁は今年3月、新電力が電源を調達しやすい環境が整ったこと、部分供給が本来の趣旨とは異なる運用がされていることなどに着目して、部分供給の見直しを提案しました。

具体的には、部分供給の形態の1つである通告型部分供給の新規受付を停止する考えが示され、パブリックコメントを経て、6月15日に「部分供給に関する指針」が改訂されました。これによって、通告型部分供給の新規契約の受付が停止されました。



小売事業者2者による「分割供給」を提案

さらに、6月17日に開催された資源エネルギー庁の電力・ガス基本政策小委員会では、部分供給に代わって、「分割供給」という制度を新たに導入する案が示されました。分割供給とは、1つの需要地に対して2者の小売電気事業者が電気を供給する仕組みです。

現行の部分供給では、新電力と旧一般電気事業者が電気を供給しますが、分割供給では、旧一般電気事業者に限らず、新電力同士でも供給できるようになる見通しです。分割供給の形態としては、次の3パターンが提案されています。


(分割供給の供給形態のイメージ。出典:資源エネルギー庁

 

今後は、分割供給の詳細を詰めた上で、7月中にパブリックコメントを実施し、早ければ10月にも分割供給の受付を開始する見通しです。現行の部分供給に関しては、「当面の対策」としての役割を終えたとして、分割供給の開始と同時に受付を停止する考えが示されています。なお、現在、部分供給を契約している需要家については、2025年4月1日までに分割供給へ移行してもらうとしています。

(参考:資源エネルギー庁『分割供給の導入について』)

 

既存契約の「需要家保護」が焦点

こうした事務局案に対して、委員からは、「需要家が長期間にわたる部分供給をしている場合、分割供給への移行を急ぐと、旧一般電気事業者が現行の契約を拒絶した場合、需要家に不利益が生じるおそれがある」、「需要家保護の観点から慎重な議論が必要」と懸念する声があがりました。

また、分割供給への移行を2025年4月と一律に定めるのではなく、十分な移行措置や柔軟な対応が必要ではないかという指摘もありました。これを受けて事務局は、検討の上、必要に応じて委員会で議論するとしています。

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