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自己託送の厳格化によってどう変わった?改正ガイドラインを読み解く

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経済産業省・資源エネルギー庁は2024年2月、「自己託送に係る指針」を改正しました。これによって、発電側と需要側のそれぞれにおいて要件が厳格化されました。具体的にどのように変わったのか、解説します。

 

自己託送をめぐるこれまでの経緯

そもそも自己託送は、東日本大震災による電気の需給ひっ迫を受けて、需要家が保有する自家用発電設備の余剰電力を有効活用するために設けられました。自社の発電所が需要地と離れた場所にあっても、自家発自家消費の延長と見なされるため、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)の対象外となります。

 

この仕組みに着目して、近年は需要家が再エネを調達する手段として活用されてきました。例えば、自社の遊休地に太陽光発電所を設置し、その電気を別の場所にある自社施設で使うといったケースです。

 

2021年11月には、「再エネ電気を調達する手段を充実させてほしい」という需要家の声に対応する形で、資源エネルギー庁は自己託送の要件を一部緩和しました。本来、発電設備と需要地は、同一の会社、あるいは資本関係があることが要件でした。これを「密接な関係」と呼びます。要件が緩和されたことで、一定の条件を満たせば、第三者間での自己託送が認められるようになりました。

 

発電設備の譲渡やリースは対象外に

ところが、要件が緩和されたことによって、資本関係のない他者が開発・設置した発電設備をリース契約などで借り受けたり、自己託送で送電した電気を他者のテナントに融通したりするといったケースが増えました。資源エネルギー庁は、これを「自己託送制度の趣旨にそぐわない」として問題視し、要件を再び厳格化することを決めました。

 

2024年2月の「自己託送に係る指針」の改正によって、発電側と需要側のそれぞれにおいて要件が厳格化されました。発電側に関しては、需要家が自ら設置し、維持・運用する発電設備であることが要件に盛り込まれました。つまり、他者が開発・設置した発電設備を譲渡・リースし、需要家が名義上の管理責任者となるケースが明確に対象外とされたのです。

 

需要側に関しては、資本関係のないテナントなど、同一敷地内の他社に電気を供給するケースも自己託送の対象外とされました。例外として、需要家とテナントとの間に「密接な関係」がある場合などには自己託送を認めるとしています。

 

この改正内容は、2024年1月以降に自己託送の対象となる発電設備の接続検討申し込み(低圧の場合は接続に係る契約の申し込み)を行う場合に適用されています。

 

資源エネルギー庁は、他社間の自己託送を制限して再エネ賦課金の負担を公平化し、需要地の外部にある再エネ発電所から電気を調達する手段としては、オフサイトPPAの促進を図るとしています。

 

(参考:資源エネルギー庁 自己託送及び自己託送に係る指針について

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