電力広域的運営推進機関(OCCTO)は2024年7月10日、容量市場で初めてとなる追加オークションの結果を公表しました。対象となったのは実需給年度2025年度の、北海道、東京、九州の3エリアでした。初の追加オークション結果にフォーカスします。
不足する供給力を追加オークションで募集
OCCTOは今年4月、供給信頼度が基準に達していない不足エリアに関して、相対的に停電リスクが高いとして、容量市場の追加オークションを実施することを決定しました。不足エリアとされたのは、北海道、東京、九州の3エリアです。
容量市場の追加オークションとは、メインオークションで調達できなかった供給力を追加で調達するための制度です。メインオークションは実需給年度の4年前に開催されますが、追加オークションは1年前に実施されます。このほど実施されたのは、2025年度を実需給年度とする追加オークションです。
容量市場の制度は2020年度に開始されましたが、追加オークションが実施されたのは今回が初めてです。追加オークションの入札は今年5月10〜22日にかけて行われました。
(参考:電力広域的運営推進機関)
東京エリアで発動指令電源が過半数に
今年7月10日に公表された、追加オークションの結果は次のとおりです。約定総容量は133万kW、落札電源は合計で43件でした。エリア別の約定容量は、北海道が58万kW、東京が30万kW、九州が45万kW。1kWあたりの約定価格は、北海道が1万3,761円、東京が3,495円、九州が5,029円でした。約定総額は、経過措置を踏まえると105億円となりました。
応札された電源の種別に関しては、東京エリアにおける発動指令電源が55%超に上り、北海道、九州エリアとの違いが鮮明になりました。北海道、九州エリアでは、従来のメインオークションと同様に、安定電源が9割超を占めました。発動指令電源とは、蓄電池やデマンドレスポンスなどを指します。
(電源等の区分別の応札容量(単位:万kW)。出典:電力広域的運営推進機関)
全国の容量拠出金の負担額にも影響
追加オークションの結果を受けて、全国の容量拠出金の試算額も変更となりました。全体として、一般送配電事業者の容量拠出金負担額は66.7億円増加の493.5億円、小売電気事業者は137.1億円減少の4,576.2億円と試算されました。容量拠出金は、追加オークションが実施されなかった6エリアでも変更になっており、もっとも増減が大きかったのは、東京エリアでした。
(2024年度実施 容量市場追加オークション(対象実需給年度:2025年度)の約定結果。出典:電力広域的運営推進機関)
2025年度の容量拠出金は、追加オークションの影響で若干増額したものの、2024年度の金額と比べると大幅に減額となる見通しです。2024年度の容量拠出金は、一般送配電事業者で1,336.9億円、小売電気事業者で1兆4,650.5億円となっています。
足元では、実需給年度を2028年度とするメインオークションの準備が進められています。こちらに関しても、改めてリポートしたいと考えています。