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高度化法、2040年度の非化石電源比率「60%以上」に。GX-ETSとの整合性も指摘

経済産業省・資源エネルギー庁は2025年10月29日、エネルギー供給構造高度化法(高度化法)の第3フェーズ以降の扱いについて議論しました。2040年度における非化石電源比率や、排出量取引制度(GX-ETS)との整合性をめぐって意見が交わされました。

第2フェーズの最終年度 達成率は約95%

高度化法では、前年度の電気の供給量が5億kWh以上の小売電気事業者に対して、非化石電源比率を2030年度に44%にする目標を定めています。3年ごとに第1フェーズ(2020〜2022年度)、第2フェーズ(2023〜2025)と区切って取り組みを進めてきました。

2025年度は、第2フェーズの最終年度です。そのため、資源エネルギー庁の第108回制度検討作業部会は、第2フェーズの中間目標値の達成状況を確認するとともに、第3フェーズ以降の運用を見直すとしました。

部会ではまず、第2フェーズの達成状況について総括しました。2020〜2022年度を対象とする第1フェーズでは、非FIT非化石証書の需給がひっ迫したことなどから、達成率は全体の6割程度にとどまっていました。第2フェーズでは、毎年度、中間目標値の達成状況を評価する仕組みを導入したことで、全体の約95%の小売電気事業者が目標値を達成しました。

(事業者の達成状況。出典:資源エネルギー庁

こうした状況から、部会では、「小売電気事業者に一定の非化石証書の調達を義務付けることで、非化石電源比率を増加させるという初期の目的は、着実に達成されつつある」と評価しました。

なお、非化石証書の取引状況については、非FIT証書の取引量は増加しており、その大半が相対取引によること、FIT証書の取引量は少ないものの、規模が着実に増えていることが確認されました。

エネルギー基本計画の改定受け 40年度の目標値を更新

(非化石電源比率の推移と見通し。出典:資源エネルギー庁

高度化法における目標設定は、エネルギー基本計画とともに発表される「エネルギー需給見通し」を反映することとされています。今年2月に、「第7次エネルギー基本計画」が閣議決定されたことを受け、高度化法における2040年度の目標値も更新されることになっています。

部会では、小売電気事業者の非化石電源比率が直近で31%台と堅調に推移していることなどから、2040年度における非化石電源比率を60%以上にする案を示しました。これに対して、参加した委員やオブザーバーは、「非常に高い目標であるものの大きな異論はない」と賛同しました。

GX-ETSとの重複や価格帯の不整合を指摘する意見も

その一方で、2026年度から排出量取引制度(GX-ETS)が本格的に始まることから、高度化法との整合性を指摘する意見が多く上がりました。高度化法の直接の対象は小売電気事業者であり、GX-ETSの対象は発電事業者であるものの、最終的には需要家が負担する電気料金に反映されることから、両制度の重複や価格帯の不整合がないようにするべきと指摘されました。

また、GX-ETSが本格的に稼働した後も、高度化法をこのまま継続すべきなのかどうかについても再度検討が必要だとされました。そのため、第4フェーズ以降の高度化法がどのような取り扱いになるのかは、これからの検討となる見通しです。本メディアでは、GX-ETSの動向とともに、今後の検討状況を逐次リポートしていきます。

(参考:経済産業省・資源エネルギー庁 第108回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会 制度検討作業部会

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