2019年12月13日に閉幕したCOP25では、自治体、企業、投資機関、NGOなどの「非国家アクター」の活動も大きく注目されました。また、若者のアクションがこれまでになく顕著であったともいえるでしょう。この気候変動に対する盛り上がりは今後も続いていくものと思われます。
今回のCOP25は、当時開催国とされていたチリが海洋国家であることもあり、海洋による温室効果ガス(GHG)の吸収効果、いわゆる「ブルーカーボン」の取扱いにもスポットが当てられていました。COP25の開催に先立ち、コスタリカ・サンホセにて2019年10月8日から3日間開催されたプレCOP(国連気候変動枠組条約第25回締約国会議閣僚級準備会合)では、この「ブルーカーボン」についてチリ、フィジー、コスタリカがCOP25のサイドイベントとして共同提案を行いました。そのため、COP25は通称「ブルーCOP」とも呼ばれています。
「ブルーカーボン」とは、2009年に国連環境計画(UNEP)の報告書「Blue Carbon」において初めて使われた言葉です。陸上ではなく、海洋の藻などにより吸収・固定されるGHGを指します。
日本では国土交通省などが中心となり、2019年6月に「地球温暖化防止に貢献するブルーカーボンの役割に関する検討会」を設置し、検討を始めました。また12月10日に開催されたばかりの、農林水産省による「環境イノベーションフォーラム」においても講演されるなど、注目を集めています。
国内初の取組み「横浜ブルーカーボン事業」、アマモによるクレジットを認証
国内における「ブルーカーボン」の取組みとしては、2019年9月17日、横浜市が国内で初めて、海の公園のアマモによるブルーカーボン12.3t-CO2をクレジットとして認証したと発表しました。
これは、CO2の削減量を取引できるカーボン・オフセット可能なクレジットとして、国内で初めて認証されたものです。このクレジットは自治体独自の制度であり、横浜市が「横浜ブルーカーボン事業」として取り組んでいるものです。このクレジットは無期限で使用することができ、これまでもトライアスロン大会などに使用されてきました。
しかし、この「ブルーカーボン」はJ-クレジット制度の方法論などとしては認められていません。というのも、J-クレジット制度がその基盤とする「日本国温室効果ガスインベントリ」において、海洋利用はまだ認められていないためです。
今回の横浜市の取組みは、自治体独自の制度であるため実現できたものですが、多くの他の自治体が展開することにより、「ブルーカーボン」の国内での検討が進むものと考えられます。