2020年10月26日、菅義偉首相は臨時国会において初めての所信表明演説を行い、2050年のカーボンニュートラル実現を宣言しました。「温暖化への対応は経済成長の制約ではない」とし、省エネの徹底や再生可能エネルギーの最大限の導入、また「長年続けてきた石炭火力発電に対する政策を抜本的に転換」するとも述べました。
これまで政府は、カーボンニュートラル(脱炭素)の明確な達成年度については言及しておらず、2050年という年度目標の提示は非常にセンセーショナルなものでした。
この宣言は各界から歓迎されています。国内では、RE100の日本事務局である日本気候リーダーズパートナーシップ(JCLP)が歓迎の意を表し、「2030年再エネ比率50%」などの目標を含むエネルギーミックスの見直しに向けた提言を行っています。また、国連のグテーレス事務総長も同日、歓迎と謝意を表するコメントを発表しました。
石炭火力発電の見直しについては、2020年8月から経産省の石炭火力検討ワーキンググループにおいて議論が進められています。2030年までに「非効率石炭火力のフェードアウト」を目指しています。こちらの議論に関しても、進捗に応じて本ブログにてご紹介してまいります。
「エネルギー基本計画」の見直しを加速させるアクセルに
現在、エネルギー政策の根幹に位置する「エネルギー基本計画」の見直しがスタートしたところです。「エネルギー基本計画」とは、日本のエネルギー政策の基本的な方針を決める計画です。2003年10月に初めて策定されて以来、これまで5回の改定を経てきました。2018年7月の「第5次エネルギー基本計画」が直近の計画です(2020年11月9日現在)。
「第5次エネルギー基本計画」では、『再生可能エネルギーの主力電源化』が目標に組み込まれたことが大きなトピックスでした。今回の菅首相の所信表明演説におけるコミットメントを受け、エネルギー基本計画も具体的な目標を落とし込んだ内容に見直しが進むと思われます。
なお、2020年11月9日から13日にかけて、2020年度第2回目の非化石証書の入札がスタートしています。今回はFITに加え、非FITにも対象が拡大されています。約定価格はまだ明らかになっていませんが、1円/kWhとの見方も出ています。こちらの約定結果に関しても、本ブログで引き続きお届けしてまいります。ぜひ引き続きチェックをお願いいたします。