2020年10月の菅首相の2050年カーボンニュートラル宣言を受け、同年12月25日「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が示されました。その中で、制度化に向けて検討が進められることになったのが「カーボンプライシング」です。小泉環境大臣が2021年1月から本格的な検討再開を表明したことでも話題を呼びました。
その「カーボンプライシング」とは、日本語で「炭素の価格付け」と呼ばれます。CO2の排出量に直接価格を付け、排出削減を促すアプローチの一つです。直接価格を付けるアプローチには「炭素税」と「クレジット取引」などがあります。「炭素税」は排出量1トンあたり〇〇円と価格を固定する仕組みで、ヨーロッパを中心にすでに導入した国もあります。
炭素税のメリットは、排出量に応じて課税するため、CO2排出量の環境負荷を可視化できることです。需要家は、対策コストと課税額とを比較し、コストの低い削減策から実施することができます。例えば、何も対策しない場合の炭素税が100万円だとして、50万円の排出削減策を実施して炭素税が30万円になれば、トータルのコストは80万円。削減を実施する方が経済効率的だと判断できるのです。
「クレジット取引」も強化の方向性
炭素税を世界で初めて導入したのは、スウェーデンでした。1991年に「CO2税」という名称でスタートし、税率を徐々に上げてきました。2021年の税率は、日本円で1トン-CO2あたり約14,400円、2019年のカーボンプライシングによる税収は約2,664億円でした。デンマークやスイス、フランスなどのヨーロッパ諸国に加え、2008年にはカナダのブリティッシュコロンビア州も北米初の炭素税を導入しています。
CO2排出量に直接価格を付けるもうひとつのアプローチ「クレジット取引」についても、冒頭の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」においてさらなる強化の方向性が打ち出されました。当社は、これまでもJクレジットの入札についてお届けしてきましたが、今後も引き続き制度動向をウォッチしてまいります。