2021年6月9日、内閣官房の第3回 国・地方脱炭素実現会議で「地域脱炭素ロードマップ」が了承されました。これは環境省が中心となって取りまとめてきたもので、2050年カーボンニュートラルに向けた基盤となる施策や分野別の対策などが盛り込まれています。
ロードマップの副題が「地方からはじまる、次の時代への移行戦略」とされている通り、地方の脱炭素が未来へのさまざまな可能性を秘めているという強いメッセージが織り込まれました。
2030年までに100箇所の「脱炭素先行地域」目指す
(画像出典:内閣官房 国・地方脱炭素実現会議(第3回))
目指す方向性としては、2030年までに100箇所の「脱炭素先行地域」をつくり、脱炭素の加速や他地域への波及効果を目指します。そのために、2025年までに政策を総動員して道筋を立てるとされました。
「脱炭素先行地域」とは、住宅や建築物、交通、農林水産業などの各分野において地方自治体が中心となって排出削減対策を行う地域を指します。地理的な特性などによって「住生活エリア」「ビジネス・商業エリア」「自然エリア」「(公共施設などの)施設群」の5つの類型に分類されています。
環境省の試算によると、人口1,000人程度の脱炭素先行地域を創出するのに、設備投資で40~100億円が必要となるものの、創出後のコスト削減などにより年額3~5億円の経済効果が期待できるとのことです。
重点対策に自家消費型太陽光など
脱炭素の基盤となる重点対策としては、以下の8つが整理されました。
- 屋根置きなど自家消費型の太陽光発電
- 地域共生・地域裨益型再エネの立地
- 公共施設など業務ビル等における徹底した省エネと再エネ電気調達と更新や改修時の ZEB化誘導
- 住宅・建築物の省エネ性能等の向上
- ゼロカーボン・ドライブ
- 資源循環の高度化を通じた循環経済への移行
- コンパクト・プラス・ネットワーク等による脱炭素型まちづくり
- 食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立
このうち「屋根置きなど自家消費型の太陽光発電」では、初期投資なく太陽光発電設備を設置し、サービス料金を支払うことで自家消費できるPPAモデルなどが例示されました。
地域の脱炭素化に大きな期待
先日の本ブログでは、温対法の改正により地域の脱炭素施策の枠組みが新たにつくられたことをお伝えしました。(参考:『「改正地球温暖化対策推進法」成立! 自治体や企業の脱炭素化が加速』)
一方で、6月11~13日に開かれた先進7ヶ国首脳会議(G7サミット)では、菅首相が日本の技術力を活かしたイノベーションや地域での取り組みを推進することで2050年カーボンニュートラルを目指すと表明しました。地域における脱炭素化が今、大きく注目されています。
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