2021年11月19日~26日に行われた再エネ価値取引市場の初回オークション結果が、早速公開されました。気になる約定価格や入札量、参加社数についてお届けします。
再エネ調達ニーズを色濃く反映した取引結果に
経済産業省が11月29日に開催した第59回 制度検討作業部会では、再エネ価値取引市場の初回オークションの結果が発表されました。再エネ価値取引市場とは、需要家がFIT非化石証書を直接取引できるマーケット。脱炭素経営のニーズの高まりに応じて、2021年11月から新設されています。
発表によると、初回オークションの約定量は19億2,930万kWh。これまでの約定量と比べて5倍以上の伸びです。加重平均の約定価格は1kWhあたり0.33円で、あらかじめ決められた最低価格0.3円/kWhに近い額となりました。
参加者数は、小売電気事業者ではない需要家が6者、FIT非化石証書の仲介を行う仲介事業者は19者でした。
(参考:経済産業省 第59回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会)
今回は初めてのオークションということもあってか、取引会員登録の開始から入札まで3週間あまりでした。制度そのものの周知やスケジュールが改善されれば、次回はより多くの参加者が集まると予想されます。
コーポレートPPAでも証書の直接取引が可能となる方向へ
同会合では、初回オークションの結果を踏まえ、需要家の再エネの調達手段のさらなる拡大についても議論されました。具体的には、発電事業者と需要家が長期の電力購入契約を結ぶコーポレートPPAについてです。
本ブログでも以前ご紹介したとおり、現在の日本の制度では、発電事業者と需要家との間の直接の電力取引は認められていません。(参考『「コーポレートPPA」とは? 多様なスキームとメリットを解説!』)
一方、米国などでは、再エネを調達する方法としてコーポレートPPAが主流です。そのため、日本でも需要家が発電事業者から再エネ価値を直接取引できるようにしてほしいという声が挙がっています。
そこで、経済産業省は今回、一定の条件を設けたうえで非FIT非化石証書の直接取引を認める方向で検討すると明らかにしました。新設の非FIT再エネ電源によるコーポレートPPAに限り、非FIT非化石証書の直接取引が可能になると考えられます。詳細の要件はこれから議論されるため、本ブログにて随時ご紹介していきたいと思います。
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