日本卸電力取引所(JEPX)は2024年11月27〜29日、2024年度第2回の非化石価値取引市場オークション結果を公表しました。好調な滑り出しだった初回オークションと比べて、FIT証書・非FIT証書ともに落ち着いた取引結果となりました。
FIT証書、約定量は横ばいだが売り入札量が大きく増加
2024年度第2回オークションにおけるFIT非化石証書の約定量は、116.4億kWh。前回の143.7億kWhから微減となりました。その一方で、売り入札量が前回の300.8億kWhから509.8億kWhと大幅に増えたことで、売り入札量が優勢の傾向がさらに強まりました。約定最高価格は前回から0.01円減の0.6円/kWh、約定最低価格は下限の0.4円/kWhでした。約定会員数は前回とほぼ横ばいの241者となりました。
再エネ価値取引市場の推移。※累積約定割合(%)は、各回の市場拠出量+約定量の合計のうちの累積需要量の割合(出典:日本卸電力取引所より筆者作成)
2024年度初回オークションの結果については、こちらの記事で解説しています。(参考:非化石証書2024年度初回オークション、好調なスタート | メディア | リアイバリュー株式会社)
非FIT証書、売り入札量が減少するも低調
非FIT非化石証書(再エネ指定なし)の約定量が1.3億kWhであるのに対して、売り入札量は12.4億kWh。売り入札量は前回から激減したものの、変わらず売れ残りが発生しています。売り入札量は前回の10分の1以下に減りましたが、約定量は約半分の減少に止まりました。約定価格は0.6円/kWhです。
高度化法達成市場の推移(非FIT再エネ指定なし)。※累積約定割合(%)は、各回の市場拠出量+約定量の合計のうちの累積需要量の割合(出典:日本卸電力取引所より筆者作成)
また、非FIT非化石証書(再エネ指定あり)の約定量は11.6億kWhとなり、売り入札量は17.7億kWhでした。非FIT証書ではどちらも売り入札量が大幅な減少となりました。約定価格はこちらも0.6円/kWhでした。
高度化法達成市場の推移(非FIT再エネ指定あり)。※累積約定割合(%)は、各回の市場拠出量+約定量の合計のうちの累積需要量の割合(出典:日本卸電力取引所より筆者作成)
非FIT証書に高度化法第2フェーズの影響
今回、FIT証書では、約定量は前回からほぼ横ばいでしたが、売り入札量が大きく増加したことで全体的に落ち着いた印象となりました。対照的に、非FIT証書(再エネ指定なし)では、売り入札量が大幅に減少し、非FIT証書(再エネ指定)では約定量・売り入札量がともに減少しました。
非FIT証書の取引が低調になった背景としては、エネルギー供給高度化法(高度化法)が考えられます。これは、年間販売電力量5億kWh以上の小売電気事業者に対して、2030年度に非化石電源比率を44%以上にすることを義務付けるもので、評価の対象期間を2023〜2025年度(第2フェーズ)としています。そのため、第2フェーズの最終年である2025年度に非FIT証書を調達しようと考える小売電気事業者が多く、今回の取引が低調になったのではないかと推測されます。(参考:非化石証書の価格はどうなる? 高度化法第2フェーズの検討に着手| メディア | リアイバリュー株式会社)