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「需給調整市場」とは何か? 2022年度からの変更点も解説

2022年4月から取引の範囲が拡大された「需給調整市場」。今回は、そもそも需給調整市場とは何か、2022年4月からの変更点について解説します。

 

「需給調整市場」とは

そもそも「需給調整市場」とは、電力需給のバランスを維持したり周波数制御を行ったりするのに欠かせない「調整力」を取引する市場です。

電気は貯めておくことが難しいため、常に需要と供給を一致させなければなりません。この需給バランスが崩れると、電気の周波数が乱れて安定的に供給することができなくなってしまう恐れがあるのです。

出典)資源エネルギー庁 なるほど! グリッド「出力制御について」

そうならないように、一般送配電事業者が電力需給のバランスを調整しています。その際に活用されるのが「調整力」です。

調整力として活用されるエネルギーリソースには、さまざまなものがあります。例えば、出力の調整が可能な発電機、蓄電池などの充放電、工場など需要家の負荷調整などです。

以前は、こうした調整力を募る際には、各エリアの一般送配電事業者がそれぞれ公募を行っていました。しかし、2021年4月に需給調整市場が開設されたことで、一般送配電事業者はこの市場を通してエリアを超えて調整力を調達できるようになったのです。

需給調整市場の売り手となるのは発電事業者やアグリゲーターなど、買い手となるのは一般送配電事業者です。需給調整市場で取引を行うには送配電協議会の会員になる必要があり、2022年4月1日現在、33社取引会員が登録されています。

出典)経済産業省 第57回電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会 資料5



2022年度から「三次調整力①」の取引開始

需給調整市場で取引される調整力は、その役割などに応じて、以下の5つの商品に区分されています。

出典)電力広域的運営推進機関「2022年度向け調整力公募に向けた課題整理について

このうち、もっとも応動時間の長い「三次調整力②」が、2021年度から需給調整市場で取引されています。

三次調整力②は、主に太陽光発電や風力発電のような再生可能エネルギーの出力変動に対応するための調整力と位置付けられています。応動時間が45分と長いことから、需給調整市場の新規参入者にとって比較的参加しやすいとされています。

2022年4月からは、応動時間15分の「三次調整力①」の取引が新たに開始されています。さらに、2024年度からはすべての調整力が需給調整市場で取引される予定です。

脱炭素社会の実現が急がれる今、太陽光や風力といった変動性の再生可能エネルギーの導入が進んでいます。こうした電源の出力変動に対応するには、需給調整市場で取引される調整力の存在が欠かせません。より柔軟性のあるエネルギーシステムの構築に向けて、需給調整市場の充実が望まれます。

 

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