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2022.09.05ニューストータルエネルギーソリューション再エネ調達

【2023年度】改正省エネ法のポイント① /エネルギーの定義と合理化の措置

改正省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)は、2023年4月1日の施行が予定されています。エネルギー多消費企業1万2000社へ、非化石エネルギーへの転換目標を義務付けるということでも話題になりました。今回は、改正省エネ法のポイントをおさらいし、現時点での検討状況を前後編に分けてレポートします。(2022年9月5日現在)

後編はこちら

 

改正省エネ法の検討、主要な4つのテーマ

経済産業省の省エネルギー小委員会は2022年6月8日、工場等判断基準ワーキンググループを開催しました。今年度初会合となった今回、来年度の改正省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)の施行に向けた検討の方向性が打ち出されました。それによると、今後、大きく以下の4テーマについて検討を進めるとされています。

 

(1)エネルギー定義の見直し

(2)エネルギー使用合理化に関する措置

(3)非化石エネルギーへの転換に関する措置

(4)電気需要の最適化に関する措置

 

いずれも定期報告における考え方や記載方法の変更が予想されますので、同会合の内容をもとに、4テーマそれぞれについて詳しく解説していきます。この記事では、まず「(1)エネルギー定義の見直し」「(2)エネルギー使用合理化に関する措置」の2つのテーマについてご説明します。省エネ法の改正の概要については、本ブログのこちらの記事でも詳しくご説明しています。ぜひ合わせてご覧ください。(参考『非化石エネ目標、2023年度から大企業に義務化。環境価値は“争奪戦”に | REiVALUE Blog』)

(1)エネルギー定義の見直し

・「非化石エネルギー」含むすべてが対象に

現行の省エネ法は、石油危機をきっかけに、化石燃料の使用を合理化する目的で1979年に制定されました。そのため、化石燃料由来のもののみを“エネルギー”と定義し、法の対象としています。現在、廃棄物などからの回収エネルギーや再エネなどの非化石エネルギーは対象ではありません。

 

しかし、改正省エネ法ではこの定義を改め、非化石エネルギーを含めたすべてのエネルギーを合理化の対象とします。非化石エネルギーとは、非化石燃料と、化石燃料以外を熱源とする熱・電気を指します。非化石燃料とは、バイオマスや水素、アンモニア、廃材や廃プラスチックなど。つまり、来年度からは、化石燃料以外のエネルギーにおいても省エネなどの取り組みが求められるというわけです。

 

水素やアンモニア、合成燃料は、改正省エネ法の施行段階では非化石燃料に位置付けられます。ただし、中には化石燃料に由来するものもあると考えられるため、今後の取り扱いについては引き続き検討されるとのことです。

 

・エネルギー換算係数の見直し

省エネ法では、まず、重油や熱、電気といったすべてのエネルギーを熱量換算し、そのうえで原油換算(一次エネルギー換算)します。今回は、熱量換算における係数を見直す考えが示されました。現在、化石燃料に関しては、2005年度の標準発熱量が使用されていますが、これを2018年度のものにアップデート。さらに、非化石燃料に関しては新たに設定するとされました。

 

(出典:経済産業省 省エネルギー小委員会 2022年度第1回工場等判断基準ワーキンググループ『資料4』より抜粋)

 

・電気の一次エネルギー換算係数を全電源平均に

電気に関しては現在、一次エネルギー換算係数として、火力平均係数の9.76MJ/kWhが使用されています。しかし、改正省エネ法では、これを全電源平均係数に改め、2023年度は過去3ヵ年の平均値である8.64MJ/kWhを採用する見通しが示されました。

(出典:経済産業省 省エネルギー小委員会 2022年度第1回工場等判断基準ワーキンググループ『資料4』より抜粋)

 

・自家消費太陽光による使用電力量の測定方法

自家消費太陽光による使用電力量について、今後は、原則として事業者に対して測定を求めるとしつつ、当面は、定格出力に設備利用率を乗じた「みなし」による算定も認める方向性が打ち出されました。



(2)エネルギー使用合理化に関する措置

・非化石エネルギーの評価方法

一般的に、非化石エネルギーは化石エネルギーより燃焼効率が低いため、非化石エネルギーを使用することで事業者の経済合理性が損なわれると懸念されます。そこで、非化石エネルギーを熱量換算する際には「補正係数」を乗じて、非化石エネルギーを選択することが不利にならないような配慮が行われるとされました。

 

補正係数は1未満とされ、目安として、バイオマスなど非化石燃料の場合は0.8(例:黒液の熱量換算係数を13.61GJと仮定すると、13.61✖️0.8=10.88GJ/tなど)、自家消費太陽光の場合は、電気そのもののエネルギー量である3.6MJ/kWhと、系統購入電気より小さい値とする案が示されています。委員からは、非化石燃料の補正係数を一律0.8とすべきかどうかについては、さらなる議論の余地があるといった意見が寄せられました。補正係数の取り扱いについては、今後の検討動向を追っていく必要がありそうです。

 

・エネルギー消費原単位の5年度間平均の取り扱い

2023年度は現在の省エネ法と改正省エネ法の2つの指標を併記し、5年度間平均を算定する方向性が提示されました。

(出典:経済産業省 省エネルギー小委員会 2022年度第1回工場等判断基準ワーキンググループ『資料4』より抜粋)



このように、改正省エネ法は変更点が多く、エネルギーの定義といった抜本的な見直しも含まれることから、特に改正初年度である2023年度の算定・報告においては注意が必要です。今回は、主要な4テーマのうち2つを抜粋してご紹介しました。次回は、残り2つのテーマをご紹介します。ぜひ、こちらも合わせてチェックしてみてください。なお、本記事の内容は2022年6月8日の工場等判断基準ワーキンググループの検討結果を参照したものであり、議論の動向によっては変更の可能性があります。

 

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