2023年度省エネ法改正、非化石エネルギー算出のポイントを解説
改正省エネ法が2023年4月から施行されています。改正のポイントは大きく分けて「エネルギーの定義の見直し」、「エネルギーの使用の合理化」、「非化石エネルギーへの転換」、「電気の需要の最適化」の4つです。その中から今回は、非化石エネルギーの使用状況を算出する方法などについてわかりやすく解説します。
改正省エネ法における非化石エネルギーとは
2023年度の省エネ法改正によって、従来の化石エネルギーだけでなく、非化石エネルギーも合理化の範囲に含むことが新たに決まりました。
(省エネ法におけるエネルギー。出典:資源エネルギー庁)
非化石エネルギーとは、黒液(木材パルプを作る際に発生する液体)、木材、廃タイヤ・プラスチックといった製造などの工程で生まれる副産物のほか、水素、アンモニア、太陽熱や太陽光発電などの非化石熱・非化石電気などが含まれます。改正省エネ法では、これらすべてのエネルギーの使用の合理化が求められることになったのです。
非化石燃料には「補正係数0.8」を乗じる
改正省エネ法においてもこれまで通り、事業者の目標はエネルギー消費原単位によって評価されます。その際に注意すべきポイントは、エネルギー使用量のうち、非化石燃料の使用量に対して補正係数0.8を乗じることが新たに盛り込まれたことです。具体的な計算式は、下図の通りです。全エネルギー使用量の算出方法がこれまでと異なることにご注意ください。
(エネルギー消費原単位の計算式。出典:資源エネルギー庁)
非化石エネルギー使用状況の算出のポイント
改正省エネ法では新たに、非化石エネルギーへの転換に関する評価が行われることになりました。すべての事業者に対して、使用した電気全体に占める非化石電気の比率について目標の設定、計画の策定、実績値の報告が求められます。また、鉄鋼業などの5業種8分野には非化石エネルギー転換目標の目安が設定されました。これについては、こちらの記事で詳しくご説明していますので、ぜひ合わせてご覧ください。(参考『改正省エネ法、非化石エネ転換目標59%が大きな方向性に | REiVALUE Blog』)
非化石エネルギーの使用状況を算出するにあたっては、以下の3点を考慮しなければなりません。
Ⅰ.「重み付け非化石」に該当する電気の使用量を1.2倍する
自家発太陽光やオンサイト/オフサイトPPAといったFIT/FIPによらない非化石電気を使用する場合、使用量を1.2倍して報告できるという「重み付け」が行われることになりました。重み付けの対象となるのは下図の通りで、電力会社の再エネ100%メニュー、再エネ指定の非化石証書やJクレジット、グリーン電力証書は重み付けの対象から外れています。
(非化石電気の類型。出典:資源エネルギー庁)
Ⅱ.証書の非化石エネルギー量を分子に加算する
前述の通り、電力会社の再エネ100%メニュー、再エネ指定の非化石証書やJクレジット、グリーン電力証書は重み付けの対象ではありませんが、非化石エネルギーの使用状況の算定式の分子に加算することができます。
Ⅲ.他社に供給する熱・電気を発生するために使用した燃料の使用量を分母・分子から除く
発電事業などにおいて、他社に供給するために用いた燃料の使用量は計算式から非化石エネルギーの使用状況の算定式から除外することができます。
上記のⅠ、Ⅱ、Ⅲを考慮すると、非化石エネルギーの使用状況を求める数式は下図の通りです。
(非化石エネルギーの使用状況の算定式。出典:資源エネルギー庁)
このように2023年度の省エネ法改正では、細かな数式の変更などがいくつも行われています。報告にあたっては、こうした変更点をしっかり踏まえる必要があるでしょう。また次年度以降の報告においては、目標達成のためにどのような対策をとるのがもっとも効率的なのかをじっくりと検討する必要がありそうです。
エネルギーのお困りごとはございませんか?
当社は、コスト削減やカーボンニュートラル実現に向けたエネルギーソリューションの提供と、ソリューションを実践し培った知見に基づくエネルギーのアドバイザリーや実務支援を行っております。お客さま毎に異なるニーズに合わせて、環境目標達成に向けたソリューションを”具体的に”ご提案させて頂きます。再エネ電力調達、CO2削減に関するお困りごとがありましたら、お気軽にお問い合わせください。