FIT非化石証書、2022年度第2回オークションと今後の見直し方向性
資源エネルギー庁は2023年1月27日、再エネ価値取引市場の見直しなどに関する「第10次中間とりまとめ(案)」を公表しました。この記事では、再エネ価値取引市場の2022年度第2回オークション結果を振り返り、最低価格の見直し、トラッキング有償化といった今後の方向性について改めて解説します。
2022年度第2回オークション結果について
需要家がFIT非化石証書を取引する再エネ価値取引市場は、2021年11月からこれまで5回のオークションが開催されました。直近の2022年度第2回オークションでは約33億kWhが約定、約定加重平均価格は1kWhあたり0.3円となりました。入札者数は167と、前回から約10者増加しました。また、小売電気事業ライセンスをもたない事業者の参加は36者と、前回の16者から大幅に伸びています。
改正省エネ法の施行によって、2023年4月から、エネルギー消費の多い特定事業者等に対して非化石電気の割合を毎年報告することが義務付けられます。自動車製造業など主要5業種には、非化石電気の定量目標の目安も定められます。こうした背景から、小売電気事業ライセンスをもたない事業者の参加が増えたのではないかと考えられます。
(再エネ価値取引市場の推移。出典:資源エネルギー庁 第73回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会 資料9『再エネ価値取引市場について』より抜粋)
上図の通り、2021年11月以来、約定加重平均価格はずっと0.3円/kWhです。これは、現時点での再エネ価値取引市場の最低価格ですが、2023年度初回オークションからはこの最低価格が引き上げられる方向性が示されています。
2023年度初回オークションから「トラッキング有償化」、「最低価格引き上げ」へ
資源エネルギー庁の制度検討作業部会は2023年1月27日、再エネ価値取引市場などに関する「第10次中間とりまとめ(案)」を公開しました。それによると、今後の再エネ価値取引市場についての見直しのポイントは下図の通りです。
(第10次中間とりまとめ(案)の概要(主な論点と方向性)。出典:資源エネルギー庁 第75回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会 参考資料2『第十次中間とりまとめ(案)の概要』より抜粋
今後の見直しのポイントは大きく2つあり、「トラッキングの今後の方向性」と「最低価格の見直し」です。
ポイントの1つ目「トラッキングの今後の方向性」では、現在、無償で行われているトラッキングを有償化する方向性が示されています。合わせて、証書価格そのものに差をつける電源証明化を検討するとされています。具体的にどれくらいのコストになるのかはこれから検討されますが、2023年8月から見直しが適用されるとみられます。
続いて2つ目のポイントが「最低価格の見直し」です。現在、再エネ価値取引市場における最低価格は1kWhあたり0.3円ですが、これを0.4円に引き上げることが決まっています。最低価格の引き上げについても、2023年8月に開催予定の2023年度初回オークションからの予定です。
こうした検討の内容について、本ブログではこれまでもご紹介してきました。過去の経緯を知りたいという方は、ぜひこちらの記事も合わせてご覧ください。(参考:FIT非化石証書、2023年度から最低価格引き上げへ。トラッキングは有償化 | REiVALUE Blog、FIT非化石証書の最低価格が0.4円に。2023年度初回オークションから | REiVALUE Blog)
当社は、再エネ価値取引市場においてFIT非化石証書の取引を仲介する「仲介事業者」として登録されております。(参考『日本卸電力取引所 非化石価値取引会員一覧』)
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