脱炭素化が加速する中で、日本の再エネ調達の難しさが問題視されています。以前、本ブログでもお伝えした「RE100 Annual Report」では、日本は再エネが「もっとも調達困難な市場」であると評されました。再エネの調達方法にはいくつかありますが、中でも小売電気事業者の調達手段と位置づけられている非化石証書について、価格引き下げの検討が進む可能性が見えてきました。
2021年3月1日、資源エネルギー庁の第47回制度設計専門会合で、FIT非化石証書の最低価格見直しの議論がスタートしました。梶山経産大臣や河野行政改革大臣、需要家などからの再エネ調達のしやすさや価格低減を求める声を受けて、始められたものです。
現在、非化石証書のうちFIT非化石証書は最低価格が1.3円/kWhと設定されています。一方、2020年11月から開始された非FIT非化石証書では、最低価格は設定されていません。それにもかかわらず、第2回、第3回のオークションともに約定価格が1.1~1.2円/kWhとなり、FIT非化石証書の最低価格を意識した価格となったことが伺われます。
環境価値の価格、日本は世界的にも高水準
非化石証書のような環境価値の取引制度は、海外にも存在します。制度設計は各国で異なりますが、単純に比較すると日本の価格水準は海外の10倍程度だといわれています。
再エネ100%電気による事業運営をコミットする「RE100」参加企業の間では、取引先などのサプライチェーンにも再エネ調達を義務付ける動きもすでに始まっています。日本で再エネ調達が難しい状況が続けば、国内企業がこうしたサプライチェーンから締め出されるという懸念もあります。
こうした背景から、非化石証書の最低価格見直しは今後も注視すべき重要なトピックスです。当社では、議論の進捗を逐次お知らせしてまいります。
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