2021年冬、東京エリア約50万kW不足見通し。調整力公募で追加調達か
2021年6月15日、経済産業省の電力・ガス基本政策小委員会の第36回会合では、今冬の電力需給の見通しについて議論が行われました。中でも、東京エリアは厳しい見通しが示されています。2022年1月の供給力は▲35万kW、同年2月は▲55万kWとされ、安定供給に最低限必要な供給予備率3%を大幅に下回る見込みです。
(出典:経済産業省 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委会)
追加策として調整力公募で供給力調達か
今冬の供給力が不足する原因のひとつとして、発電所の補修点検などによる休停止などが挙げられています。そのため、経済産業省は発電事業者に補修計画の見直しを求めるなどして供給力を集めています。同時に、現時点で供給力としてカウントされていない自家用発電機などの稼働要請やデマンドレスポンスへの協力依頼も合わせて行う構えです。
さらに、追加的な供給力の確保策として一般送配電事業者による調整力公募で供給力を調達する方向が示されました。ただし、この調整力公募は、本来であれば小売電気事業者が確保すべき供給力を一般送配電事業が代わりに調達するものであると考えられています。同委員会の第35回会合では、追加的な供給力確保策にかかる費用は小売事業者に公平な負担を求めることを基本とすべきという声も上がっていました。
2021年の夏季に関しては、冬季ほど厳しい見通しではないものの、北海道・沖縄を除く8エリアで7月の供給予備率が3.7%、8月には3.8%となると予想されています。経済産業省は、民間企業や家庭など一般の需要家に対しても無理のない省エネなどの協力を依頼するとみられています。
追加公募の実施方法やコストの扱いに注目
さて、毎年募集される次年度に向けた調整力公募も動き出しています。2022年度向けの公募要綱案が、2021年7月1日を目途に一般送配電各社から発表される予定です。その後、意見募集や要綱案の見直しを経て、入札募集は9~10月ごろと計画されています。
今冬の追加的な調整力公募がどのような形で募集されるのかや、追加調達にかかるコストの扱いに関して、今後も注視していきたいと思います。
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