目前に迫ったFIP制度。変更のポイントやプレミアムの決定方法は?
2022年4月から始まるFIP制度では、市場価格にプレミアムを上乗せした額が売電収入となり、市場に連動するようになります。今回は、改めてFIP制度とはどのようなものか、FIT制度との違いについて説明します。
市場価格にプレミアムを上乗せするFIP制度
FIP制度とは「フィード・イン・プレミアム(Feed in Premium)」の略で、市場価格に一定のプレミアム(補助額)を上乗せして売電収入を引き上げ、再生可能エネルギーの導入促進を図る制度です。
(出典:資源エネルギー庁)
上乗せされるプレミアムは、あらかじめ決められる「基準価格(FIP価格)」と「参照価格」の差分とされています。基準価格はFIT価格と同程度の水準とされており、2022年1月28日の経済産業省・調達価格等算定委員会で、2022年度は10円/kWhという委員長案が提出されました。
参照価格はほぼ市場価格となり、毎月更新されます。そのため、プレミアムの額も毎月変動することになるのです。
発電事業者には需給管理の義務が発生する
FIP制度とFIT制度の大きな違いは、売電収入の決まり方だけではありません。FIT制度では免除されていた需給管理も義務化されるようになります。需給管理とは、前もって立てた発電量の計画値と実績値を一致させるように行うマネジメントのこと。電気の需要と供給では、計画値と実績値をぴったり合わせる「計画値同時同量の原則」を守らなければならないのです。
実は、FIT制度ではこの同時同量の義務が免除されていました。これを「FITインバランス特例」と呼びます。再生可能エネルギーを普及させるため、専門性の高いこうした義務を免除していたのです。
しかし、新たなFIP制度ではこの義務が発生します。計画通りに発電できなければ、計画値と実績値の差異の「インバランス」に対して追加精算をしなくてはなりません。これは、計画値同時同量を遵守できなかったことのペナルティともいえます。
こうした計画値同時同量の原則を守るには高度なテクニックやノウハウが求められます。そこで、需給管理を専門に行うアグリゲーターに代行してもらうことも認められているのです。2022年4月からはアグリゲーターはライセンス制となり、ライセンスをもっているアグリゲーターだけが需給管理業務を行えるようになります。
新たな「アグリゲーション・ビジネス」につながるか
FIP制度は、発電量を固定価格ではなく市場連動価格で買い取ることで、再生可能エネルギーを市場に統合することを目指しています。また、FIP制度の導入に伴うさまざまな変更点によって、新しいビジネスが生まれることも期待されています。
今後のFIP制度やアグリゲーションビジネスの最新動向についても、本ブログで逐次お届けしていきます。脱炭素対策をお考えの方は、専門知識の豊富な当社スタッフがサポートさせていただきます。どうぞお気軽にお声かけください!
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