東京都「住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進事業」~②事業者向け~
2019年8月1日からスタートした、東京都「住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進事業」太陽光発電1kWあたり10万円を住宅オーナーに還元するものです。住宅オーナーにとってのメリットはもちろん、サービスを提供する事業者にも利点が見込める事業。今回は事業者の立場からこの制度を考えます。
事業プランを登録するには
東京都の「住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進事業」は、2019年8月1日から受付開始、令和2年度末までの2カ年事業。各年度の予算は7億円です。目的は都内の太陽光発電の普及、令和元年度は戸建て1,000件、集合住宅300件の申請を見込んでいます。では2019年7月8・10日に行われたこの事業の説明会資料をもとに、要件などを確認していきましょう。
事業の流れは、事業者があらかじめ東京都環境公社に事業プランを登録、住宅オーナーとの契約締結後、事業者が公社に助成の申請を行います。申請後には公社の審査があり、問題がなければ助成金が事業者に支払われます。事業者はその全額を住宅オーナーへ還元することが必要とされています。
公社に登録する事業プランの要件は次の9つ。これらすべてを満たす必要があります。
1.初期費用なしで都内住宅に太陽光発電を設置するサービス(割賦販売は除く)
2.太陽光発電が停電時でも電気を供給できること
3.太陽光発電が故障の際、修理または交換を行うこと
4.契約金額から助成金を控除して契約していること
5.太陽光発電の工事起因の身体障害などに、賠償責任補償があること
6.モジュールがJET等の認証を受けていること、新品であること
7.住宅オーナーとの契約期間が5年以上であること
8.契約後、助成金が交付されなくなった場合、住宅オーナーが無償で契約解除できること
9.太陽光の環境価値を事業者が取得しないこと(余剰売電、全量売電ともにFITは可能)
(「クール・ネット東京」ホームページより抜粋・加工)
御覧の通り住宅オーナーにとっては非常にリスクの低い内容になっています。東京都のお墨付きという安心感もあり、人気を集めそうですね。
所有しない「サブスクリプション」モデル
この事業は住宅オーナーが太陽光発電を所有しない、サブスクリプションモデル。資産は事業者の所有になりますが、その契約期間は5年以上という長期契約。つまりサービス内容によっては毎月固定の収入が生まれる可能性があり、長期の見通しが立てやすいという一面も。
2019年7月末現在、TEPCOホームテック株式会社は「エネカリ」という既存のサービスでこの事業プランに登録しています。「エネカリ」は、太陽光発電だけでなく蓄電池やV2H、エコキュート・IHクッキングヒーターなどと組み合わせて利用ができるサービス。この助成事業をきっかけとし、さらなる展開が予想されます。
注目のサブスクリプションモデルに東京都が助成を行うという画期的な取り組み。今後の動向に引き続き注目していきます。
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