省エネ法の定期報告書、今秋にも速報版の開示をスタート。経産省
経済産業省は2024年3月8日、省エネ法の定期報告書などの情報開示を行う事業者の募集を始めました。エネルギー使用量の多い事業者の情報を開示することで、業界・産業界全体の省エネや非化石エネルギー転換の取り組みを促す考えです。
省エネ法の情報開示制度とは
「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)」は、2023年4月に大きく改定され、非化石エネルギーの転換や電気の需要の最適化などが新たに評価されるようになりました。自動車製造業や化学工業、鉄鋼業など、エネルギーを多く消費する5業種について、非化石エネルギーへの転換目標の目安が設定されたことも話題になりました。(参考:改正省エネ法、非化石エネ転換目標59%が大きな方向性に | REiVALUE Blog)
これらの改定と同時に、省エネ法に基づく定期報告書の情報を開示する新制度も創設されました。近年、金融機関や機関投資家などを中心に、サステナビリティ投資の観点から、情報の開示の取り組みが世界的に進んでいます。こうした背景を受け、経済産業省・資源エネルギー庁は、省エネ法の対象である特定事業者等が希望すれば、定期報告書の情報を開示できる制度を設けたのです。
(省エネ法定期報告情報の開示制度とは。出典:資源エネルギー庁)
企業が情報開示に取り組むメリット
(開示制度のメリット。出典:資源エネルギー庁)
企業が省エネ法の定期報告書を開示するメリットとしては、まず、金融機関や投資家に自社の省エネに関する取り組みをアピールできることが挙げられます。非化石エネルギーへの転換に取り組んでいることなどを開示することで、脱炭素経営に対する企業としての姿勢を明確に打ち出すことができるでしょう。
また、この新制度では、従来行なってきた省エネ法の定期報告の流れの延長線上で情報開示に取り組むことができます。企業にとっては、情報開示のための手間が少ない点もメリットだと言えます。
一方で、投資家など開示された情報の受け手側にとっては、定期報告書が継続的に開示されることで、過去からのデータを比較しやすくなるなど、評価のためのツールとして活用することができるメリットがあります。
速報版を2024年秋にも公開へ
こうした情報開示に関しては、2023年11月から開示シートのサンプルが公表され、省エネ法の対象企業47社が開示の意向を示すなどの動きがありました。資源エネルギー庁は、開示制度を2024年度から本格運用するとして、2024年10月末まで開示宣言を受け付けるとしています。
また、2024年度報告分の開示情報については、2024年秋に速報版として資源エネルギー庁HPに公開するとしています。確報版は、2025年に開示するとのことですが、具体的なスケジュールはまだ公表されていません。
省エネ法の定期報告書が公開されることで、投資家などに対する透明性が向上するだけでなく、新たなエネルギーサービスの開発にも役立つと期待されます。
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