非化石証書2023年度第3回オークション、FIT・非FITの約定量に明暗
2023年度第3回の非化石価値取引市場オークション結果が公表されました。前回に続き、再エネ価値取引市場の取引が堅調な一方で、高度化法義務達成市場の取引結果は低調に終わりました。これまでの結果を振り返りながら、第3回の非化石価値取引市場オークションについてリポートします。
FIT証書の約定量は堅調な推移
再エネ価値取引市場の2023年度第3回オークションにおけるFIT非化石証書の約定量は、約82億kWh。第1〜3回を通じて、ほぼ一定の約定量となり、売り入札量の優勢が続いています。約定最高価格は0.6円/kWh、約定最低価格は0.4円/kWhでした。
(再エネ価値取引市場の推移。※累積約定割合(%)は、累積供給量のうちの累積需要量の割合。筆者作成)
なお、最低価格は2023年度オークションから0.4円/kWhに引き上げられています。過去のオークション結果については、こちらの記事でも解説しています。ぜひ併せてご覧ください。(参考:非化石証書の2023年度初回オークション、FIT証書は0.41円)
非FITの約定量は低調のまま
高度化法義務達成市場では、非FIT非化石証書(再エネ指定なし)の約定量は約3億kWh。こちらも売り入札量が優勢な状況は変わらず、約定価格は第1〜3回を通じて0.6円/kWhとなっています。2021年度からのオークション結果の推移は下図の通りです。
(高度化法達成市場の推移(非FIT再エネ指定なし)。※累積約定割合(%)は、各回の市場拠出量+約定量の合計のうちの累積需要量の割合。筆者作成)
一方で、非FIT非化石証書(再エネ指定あり)では、約定量は9億kWhと前回の7600万kWhと比べて大きく伸長しました。こちらも約定価格は0.6円/kWhに張り付いています。
(高度化法達成市場の推移(非FIT再エネ指定)。※累積約定割合(%)は、各回の市場拠出量+約定量の合計のうちの累積需要量の割合。筆者作成)
相対契約での非FIT証書の調達が主流に
年間販売電力量が5億kWh以上の小売電気事業者に対しては、「エネルギー供給構造高度化法(高度化法)」によって、2030年度の非化石電源比率を44%以上にするという目標が課せられています。そのため、対象の小売電気事業者の間で、非FIT非化石証書のニーズが高まると考えられていますが、今回、その状況に変化が生じていることが報告されました。
経済産業省・資源エネルギー庁が昨年9月に実施した高度化法の達成状況に関するアンケートによると、回答した企業の中で、必要な証書の大半を相対契約で調達済みであると答えた企業が多かったとのことです。
つまり、高度化法の対象である小売電気事業者の間で、非FIT非化石証書を相対契約で調達することが主流になりつつあると考えられます。オークションの結果が低調であったことの裏付けとも言えるでしょう。資源エネルギー庁はこの結果を受けて、今後、非FIT証書がひっ迫する恐れは少ないとしています。
(参考:資源エネルギー庁)
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