分割供給の受付がスタート。部分供給中の需要家は今後何をすべき?
一般送配電事業者各社は2024年10月1日から、「分割供給」の受付を開始しました。これに先立って、経済産業省・資源エネルギー庁はWEBサイトで「分割供給に関するQ&A」を公表しました。従来の部分供給との違いや、分割供給の注意点について、改めてリポートします。
そもそも「分割供給」とは
そもそも、分割供給とは、1つの需要地に2者の小売電気事業者で電気を供給する仕組みを指します。従来の部分供給では、いわゆる新電力と旧一般電気事業者の2者で供給していました。これは、旧一般電気事業者に部分供給を行う義務が課せられていたためですが、分割供給では、この義務が取り払われます。そのため、新電力同士の2者供給なども認められることになりました。
なお、分割供給は、従来通り、高圧および特別高圧の需要家に限られ、供給する小売電気事業者は2者までとされています。離島等供給の対象となる離島での分割供給は認められていません。
分割供給が導入される経緯については、当メディアのこちらの記事でより詳しく解説しています。ぜひ、併せてご覧ください。(参考:部分供給に代わる「分割供給」、今年10月にも移行か。資源エネルギー庁 | メディア)
約款の変更届出とQ&Aが出揃う
一般送配電事業者各社は9月20日、分割供給の導入に伴って、託送供給等約款の変更届出を行いました。これらの約款は10月1日から実施予定とされており、分割供給の接続供給契約が同日から受付開始されました。資源エネルギー庁のWEBサイトでは、「分割供給に関するQ&A」が公表されました。
それによると、分割供給を利用する場合には、あらかじめ、小売電気事業者2者と需要家との間で、契約電力などを取り決めし、接続供給を申し込む必要があります。部分供給で認められていた通告型、横切り型は「需要追随+非需要追随」、縦切り型は「需要追随+需要追随(時間分割型)」として利用することができます。
既存契約は25年7月1日までに移行が必須に
現在、部分供給を契約している需要家に対しては、事前の審議会の通り、2025年7月1日までに分割供給へ移行することが求められています。当初、移行期間を2025年4月1日までとする案がありましたが、実務的な対応を考慮し、3ヶ月後ろ倒しの7月1日となりました。
Q&Aでは、「分割供給へ移行しなかった場合はどうなりますか」という問いに対して、「7月1日までに移行できるように協議を進めてください」という趣旨の回答にとどめられ、期日をオーバーした場合の対処については明言されませんでした。
9月に新たな約款が出揃ったことで、今後、部分供給を行っている新電力各社は、旧一般電気事業者に対して、「分割供給への移行後も引き続き供給してほしい」との申し入れを行うと見られます。部分供給を契約中の需要家にとっては、来年7月1日までに移行できるかどうかは極めて重要な問題です。分割供給をめぐる動向については、今後も引き続きリポートしていきます。
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