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FIT価格引き上げと期間短縮、屋根置き太陽光の促進で経産省が提案

経済産業省は、屋根置き太陽光の発電量が一定規模以上のものについて、FIT制度の買取価格を増額し、買取期間を短縮する案を提示しました。この案は「初期投資支援スキーム」と名付けられています。どのような案なのか、具体的に見ていきましょう。

 

投資回収の早期化を図る「初期投資支援スキーム」

経済産業省・資源エネルギー庁は、2024年10月16日に開催した第95回調達価格等算定委員会で、今年度の太陽光発電に関する主な論点として、次のようなトピックスを挙げました。屋根設置などの需給近接型の太陽光発電は、地域と共生しやすく系統への負荷が小さいことから、今後の導入を加速するとしました。その一方で、建物所有者には個人や中小企業といった財務体力の比較的小さい主体が多いため、投資回収期間が長いと導入が進まないと指摘しました。

 

そこで、屋根置きなどの需給近接型太陽光においては、FIT買取価格を引き上げ、買取期間を短縮することで、投資回収の早期化を図る考えを示しました。これを需給近接型太陽光発電における「初期投資支援スキーム」と呼び、買取価格とキャッシュフローのイメージは下図の通りです。

(初期投資支援スキームにおける価格と投資回収期間(イメージ)。出典:資源エネルギー庁

 

持続性や自家消費の促進の観点から慎重な議論を求める声も

資源エネルギー庁は、買取価格をいくらに設定するかについて、初期投資の回収年数や期間満了後の事業継続、自家消費を促進するなどの複数の観点から検討することが必要と指摘しました。また、国民負担を抑制する観点も重要であるとしています。

 

これに対して、委員からは「早期の投資回収を国が支援することは、一般的な商取引における手形やファクタリングと同じ。なぜそれを国が行う必要があるのか、もっと議論すべきでは?」、「投資回収後に転売をするケースが現れるのではないか。持続性を担保することが重要」、「太陽光の自家消費の拡大を阻害することにならないか」といった意見があがりました。

 

近年、企業や自治体、個人の間でPPA(パワー・パーチェイス・アグリーメント、電力購入契約)が広がりつつあります。PPAでは、需要家は太陽光発電による電気の使用量に応じたサービス料金を支払うことで、初期投資なく太陽光発電を導入できます。こうした中で、「初期投資支援スキーム」がPPAにどのような影響を与えるのか、十分に考慮することが大切だと考えます。

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