経済産業省・資源エネルギー庁は、FIT制度における需給近接型の住宅用・事業用太陽光発電を対象として、期間を限定して余剰電力の買取単価を増額する「初期投資支援スキーム」を今年10月にも開始するとしています。事業用と住宅用のそれぞれの仕組みや買取単価について、これまでの検討内容をリポートします。
初期投資支援スキームとその背景
「初期投資支援スキーム」とは、FIT制度における需給近接型の住宅用・事業用太陽光発電について、買取価格を期間を限定して増額するもので、資源エネルギー庁が導入を検討しています。需給近接型とは、主として住宅用太陽光、事業用屋根設置太陽光などが想定されています。個人や中小企業などが設置する太陽光発電に関しては、財務的な体力が大きくないことから、投資回収期間の長さが導入のハードルの1つになっていると考えられます。そこで、期間を限定して買取単価を増額することで、投資回収の期間を早め、太陽光発電の導入を促したい考えです。
初期投資支援スキームのこれまでの検討内容については、こちらの記事で解説していますので、併せてご覧ください。(参考:FIT価格引き上げと期間短縮、屋根置き太陽光の促進で経産省が提案 | メディア | リアイバリュー株式会社)
事業用は19円/kWh、住宅用は24円/kWhとの試算
事業用の「階段型の価格設定」スキームと、住宅用の「支援期間の短縮」スキームのイメージ。(出典:資源エネルギー庁)
2024年12月17日に開催された資源エネルギー庁の第100回調達価格等算定委員会では、事業用と住宅用のそれぞれで異なるスキームと買取単価のシミュレーションが公表されました。
事業用太陽光発電では、支援期間を初期と後期の2つにわけ、初期の買取価格を高く、後期の価格を低くする「階段型の価格設定」のスキームが提示されました。買取期間は従来通りの20年間とされています。これは、太陽光パネルの廃棄積立費用の回収期間を、他の事業用太陽光発電と同様にするためだと考えられます。
一方の住宅用太陽光では、支援期間そのものを短縮して買取価格を増額する「支援期間の短縮」スキームが示されました。買取期間は、従来の10年間の半分以下に短縮される見通しです。
委員会事務局の試算によると、事業用太陽光の初期投資支援期間は5年間とし、その期間の支援価格は1kWhあたり19円程度、住宅用太陽光の買取期間は4年間、買取単価は同24円程度とされました。
早ければ25年10月にも適用開始へ
検討の当初、初期投資支援スキームは2026年度からの適用を予定していました。しかし、資源エネルギー庁は25年1月17日の第101回調達価格等算定委員会で、需要家が今年度に太陽光発電を買い控えるのではないかとの懸念から、適用時期を半年前倒しし、25年10月からとする方向性を示しました。また、当面は新築の建築物も対象に含め、導入の状況や影響などをモニタリングするとされています。初期投資支援スキームが個人や中小企業が太陽光発電を新たに導入する起爆剤になるのか、今後の動向が注目されます。
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