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排出量取引制度の全体像、対象企業の規模や「全量無償割当」ルールを提案

内閣官房GX実行会議は2024年12月26日、「GX2040ビジョン(案)」において、排出量取引制度の本格稼働に向けた全体像を示しました。制度の対象としては、業種を問わず一律に、CO2直接排出量が3年間平均で10万トン以上の企業とする考えが提示されました。

 

CO2の排出量取引制度の段階的な取り組み

国は二酸化炭素(CO2)の排出量取引制度を段階的に発展させる意向を示しており、第一段階として、23年度からGXリーグを開始しました。これは参加企業の自主性に基づく枠組みであり、自主的な目標設定によって企業のコミットメントやインセンティブを高める考え方に基づいています。(参考:GXリーグ、排出量取引の対象を拡大するためのガイドラインを策定 | メディア | リアイバリュー株式会社

 

直接排出量10万トン以上の企業が一律対象に

26年度からは、企業のGXの取り組みをさらに加速させるとして排出量取引制度を導入する考えを示しています。内閣官房のGX実行会議(第14回)では、排出量取引制度の本格稼働に向けて、基本的な考え方や具体的な措置などの案がとりまとめられました。案のポイントについては以下の通りです。

 

・直接排出量10万トン以上の企業の参加を義務化

海外の制度との水準を考慮して、CO2の直接排出量10万トン以上の企業に対して、業種を問わず一律に制度への参加を義務付ける案が示されました。また、子会社の直接排出量が10万トンを超える場合には、一体的に報告ができる仕組みになる見通しです。

 

・排出水準をクリアする場合は「全量無償割当」

排出量取引制度では、新たに政府指針を作成し、企業が望ましい排出削減の水準を達成する場合には、負担が生じない「全量無償割当」という仕組みを検討するとされました。対象事業者は毎年度、直接排出量を算定し、登録期間による認証を受けた上で、国へ報告することが求められる予定です。

 

・排出量の算定ルールは省エネ法や温対法をベースに

算定方法の詳細なルールは省エネ法や温対法を基礎として、J-クレジットやJCMクレジットを活用できるようにするとされました。また、企業には毎年度、国に報告した排出量と同量を償却する義務が課され、「全量無償割当」が排出量より少ない場合には、市場などの第三者から調達して償却する必要があるとされました。

 

今後は既存の法制度や条例との関係を整理

会合では今後、対象企業が中小企業に炭素価格を不当に負担させることがないように確認し、既存の法制度との関係を整理する必要があると指摘されました。また、地方自治体で先行的に実施されている排出量取引制度についても国の新制度との整合をとるために整理していくとされました。

 

新たな排出量取引制度は、26年度中にも開始される見込みです。対象となる企業は、どのように償却を行うのか、具体的なプランを練る必要があります。今後の「GX2040ビジョン」や、関連する国のガイドラインの検討動向について、引き続き注目していきます。

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