日本卸電力取引所(JEPX)は2025年2月26〜28日、2024年度第3回の非化石価値取引市場オークション結果を公表しました。非FIT非化石証書では売り入札量が激減し、約定価格が上限価格の1.3円/kWhとなりました。
FIT証書は変わらず売り入札優勢
2024年度第3回オークションのFIT非化石証書の約定量は153.4億kWhと、前回から微増となりました。それに対して、売り入札量が前回の509.8億kWhから752.2億kWhとさらに増加し、売り入札優勢の傾向がより顕著になっています。売り入札量は、2024年度オークションで最多となりました。約定最高価格は前回の0.6円/kWhから上がって1.0円/kWh、約定最低価格は同じく下限の0.4円/kWhでした。

再エネ価値取引市場の推移。※累積約定割合(%)は、各回の市場拠出量+約定量の合計のうちの累積需要量の割合(出典:日本卸電力取引所より筆者作成)
なお、2024年度第2回オークションの結果は、こちらの記事でリポートしています。ぜひ併せてご覧ください。(参考:非化石証書2024年度第2回オークション、前回と比べ低調に | メディア)
非FIT証書、売り入札量の激減で争奪戦に
非FIT非化石証書(再エネ指定なし)では、今年度の第1回・第2回オークションの売り入札優勢の状況から一転し、買い入札優勢となりました。売り入札量が前回の約19分の1の0.65億kWhとなった一方で、買い入札量は前回から大幅に増えて51.4億kWhとなりました。売り入札量の少なさから、約定価格は前回の2倍を超える上限価格の1.3円/kWhとなりました。

高度化法達成市場の推移(非FIT再エネ指定なし)。※累積約定割合(%)は、各回の市場拠出量+約定量の合計のうちの累積需要量の割合(出典:日本卸電力取引所より筆者作成)
また、非FIT非化石証書(再エネ指定あり)でも、売り入札量が大きく減少したことで、約定量は前回から9割以上少ない0.8億kWhとなりました。これに対して、買い入札量は55.9億kWhと前回から約5倍に増加し、約定価格はこちらも上限価格の1.3円/kWhとなりました。

高度化法達成市場の推移(非FIT再エネ指定あり)。※累積約定割合(%)は、各回の市場拠出量+約定量の合計のうちの累積需要量の割合(出典:日本卸電力取引所より筆者作成)
非化石証書の調達戦略の重要性が高まる
非FIT非化石証書では、再エネ指定あり・なしともに、売り入札量が激減しました。このことから、オークションの実施に先立って相対契約で多くの非FIT証書が取引されたのではないかと推測されます。
今回、非FIT証書のオークションが争奪戦の様相を呈したことから、オークションだけでの調達を考えていた企業の中には、予定していた量を購入できなかったケースもあるかもしれません。今後のオークションの動向が注目されるとともに、非化石証書の調達戦略の重要性が高まっています。
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