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カーボンプライシング、経産省と環境省の検討を比較! 今後の方向性は?

2020年10月の2050年カーボンニュートラル宣言以降、脱炭素をめぐる動きは目まぐるしく進行しています。同12月の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、主要な政策ツールのひとつとして挙げられたのがカーボンプライシング。以前、本ブログでもご紹介しました(参照『グリーン成長戦略で注目の「カーボンプライシング」とは?』)。

現在、カーボンプライシングは経済産業省と環境省の両省で検討されています。今回は、現時点での両省の検討の方向性をわかりやすくまとめました

経産省のスタンスは「経済成長に資する」ことが大前提

2021年2月、経済産業省はグリーン成長戦略の策定を受け「世界全体でのカーボン二ュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会」を設置しました。毎月1回の開催ペースで、今年夏ごろに中間整理、年内に方向性をとりまとめる予定です。

経済産業省の議論の根幹には、カーボンプライシングは「経済成長に資する」べきだという考えがあります。カーボンプライシングの導入によって民間投資が鈍り、経済成長がストップすることのないよう、さまざまな措置を考慮すべきとする姿勢です。

また、カーボンニュートラルは複数の多様な政策を組み合わせて実現するものであり、カーボンプライシングはあくまで手段のひとつであると位置づけています。そのうえで、カーボンプライシングには炭素税だけでなくさまざまな手段があり、排出量取引制度や石油石炭税、クレジット制度や再エネ賦課金など、導入済みの手法もあるとしています。

(出典:経済産業省)

こうした考え方に基づき、特に中小企業などに過度な負担をかけないような軽減措置や、脱炭素投資への行動変化を促すシグナルの認知、クレジット・マーケットなどの育成が重要としています。

 

環境省は5つの仕組みの課題を整理

一方、環境省でも2021年2月に「カーボンプライシングの活用に関する小委員会」が再開されました。2019年8月に『カーボンプライシングの活用の可能性に関する議論の中間的な整理』が取りまとめられて以来の開催です。

この中間整理では、カーボンプライシングが脱炭素化と経済成長に寄与する半面、エネルギーコストの増大や主に中小企業への負担増大などの課題があると指摘していました。

本年2月からは、炭素税、排出量取引、クレジット取引、炭素国境調整措置、インターナル・カーボンプライシング(ICP:組織が内部的に使用する炭素価格)といった具体的な仕組みについてメリットや課題を整理してきました。

なかでも、炭素国境調整措置は両省が重視するテーマです。これは、企業の生産活動などが排出規制の厳しい国から緩やかな国へ流出することで、世界全体の排出量が増えること(カーボンリーケージ)を防ぐための措置です。貿易とも密接な関係をもつため、WTOのルールなどとも整合することが求められます

 

今後も両省の議論を要チェック!

経済産業省、環境省ともにまだ検討段階ですが、今後はさらに具体的な議論が深められていくでしょう。本ブログでは、検討の内容や方向性を逐次お伝えしていきます。

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