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最終保障供給、インバランス料金か卸市場価格のどちらかを反映へ

電気料金は高騰を続け、電力供給のセーフティネットである最終保障供給の料金を上回る状況が発生しています。そこで、電力・ガス取引等監視委員会は、最終保障供給料金を市場連動とし、実質引き上げる方針を示しました。

 

最終保障料金を“市場連動”とする意向固まる

電力・ガス取引等監視委員会は2022年4月21日、最終保障供給料金を見直し「インバランス料金 or 卸市場価格の平均実績を反映する」考えを明らかにしました。

これは、昨今続いている電気料金の高騰により、自由料金(電力自由化によって新たに選択できるようになった電気料金)が最終保障供給料金を超えるという“逆転現象”への対策です。

 

出典)電力・ガス取引等監視委員会 第72回制度設計専門会合 資料10より抜粋

本来、最終保障供給は電力供給のセーフティネットであり、需要家がどの電力会社とも契約できない場合にのみ、いわば緊急避難的に契約すべきものだとされています。そのため、大手電力の標準料金より約2割高く設定され、需要家がなるべく早く通常の電力契約に戻るよう促す効果が期待されているのです。

 

出典)電力・ガス取引等監視委員会 第72回制度設計専門会合 資料10より抜粋

しかし、自由料金が高騰している今、最終保障供給料金の方が逆に割安になるという逆転現象が生じてしまっています。また、大手電力や新電力による契約切り替えの受付が一部停止しているという状況も影響し、最終保障供給の契約件数が、前年同月の8倍を超える4,000件以上にまで膨らんでいるのです。

この状態では、本来の最終保障供給の役割が発揮されず、加えて、最終保障供給を提供する一般送配電事業者への負担も懸念されます。電力小売事業のマーケットそのものが非常にいびつな状態にあると言えるでしょう。

 

価格変動のスパンは燃料費調整の先例を参考か

そこで、電力・ガス取引等監視委員会が打ち出したのが、最終保障供給料金に「インバランス料金 or 卸市場価格の平均実績を反映する」という対策です。4月21日の第72回制度設計専門会合では、参加した委員やオブザーバーのほとんどがこの案に賛同しました。

一方で、電気事業法では、最終保障供給料金について「料金が供給の種類により定率又は定額をもつて明確に定められていること」と規定しています。インバランス料金や卸市場価格に連動することは、この規定に反するのではないかという指摘も挙がりました。

しかし、事務局側は、毎月変動する燃料費調整という先行事例が認められていることから、インバランス料金や卸市場料金を反映することは問題ないという考えを示しています。

インバランス料金や卸市場料金のどちらが反映されることになるのか、また、どのようなスパンで料金の変動が反映されるのかは、今後、議論が進められると見られます。

いずれにしても、早期の見直しが必要であることには、ほぼすべての委員やオブザーバーが同意しており、今後の議論はスピーディに進むことが予想されます。当ブログでは、この議論の行方について、これからもしっかりと発信してまいります。

 

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