電気料金値上げや企業の倒産、高まる需要家保護の重要性
電気料金の値上げやエネルギーサービス企業の倒産など、電力やエネルギーを取り巻く情勢は変化が激しくなっています。こうした背景を受け、経済産業省は需要家保護の観点から小売政策の検討を始めました。
中部電力、東京電力などで3月の電気料金が値上げ
2022年3月の電気料金が値上げされると話題になっています。標準家庭のケースだと、もっとも値上がりの大きい中部電力で292円、東京電力では283円などとされました。
今回の値上げは、電気料金の構成要素の1つである「燃料費調整額」が上昇したことによる影響です。「燃料費調整額」とは、原油、LNGといった火力発電の燃料価格や為替レートなど、電力会社の経営努力によらない価格上昇を料金に反映させるものです。
こうした値上がりは、家庭はもちろん企業の電力調達にも大きく影響します。電気料金の削減の重要性が、これまでにまして高まっていると言えるでしょう。
総合電商などエネルギーサービス業の倒産相次ぐ
一方で、最近はエネルギーサービスを展開する企業の倒産が相次いでいます。例えば、2021年3月には新電力のF-Powerが464億円の負債を抱えて倒産。電力小売プラットフォームを展開していたパネイルも、同年5月に61億円の負債を抱えたまま倒産しました。
さらに、12月にはキュービクル(高圧受電設備)によるエネルギーサービス事業を行っていた総合電商が倒産に追い込まれました。負債額は15億円とされています。
総合電商は、キュービクルの販売やメンテナンスとともに電力の小売も行っていました。高圧の需要家のキュービクルの導入コストを負担し、電気料金の差額から収益を得るビジネスモデルを展開していましたが、先行投資による負担がかさみ、倒産に追い込まれたとみられています。
無契約でも電力を供給するセーフティネット「最終保障約款」
こうした背景から「万が一、契約中の電力会社が倒産してしまったら電力の供給が途絶えてしまうのではないか」という不安をもつ方もいるかもしれません。しかし、このようなケースのために、どの電力会社とも契約していない無契約の状態でも電力を供給するというセーフティネットが用意されています。
このセーフティネットは最終保障供給と呼ばれ、「最終保障約款」によって全国の大手電力会社に義務付けられているものです。「最終保障約款」とは、高圧以上の需要家に対して、無契約であっても電力の供給を行うことを定めたものです。
そのため、高圧以上の需要家であれば、電力会社と無契約の状態でも電力の供給がストップすることはありません。その代わり、最終保障約款に定める割高な電気代を支払わなければなりません。
需要家保護の観点から小売政策の議論がスタート
エネルギーを取り巻く社会環境はこの数年で目まぐるしく変化しています。特に、脱炭素の機運が高まりつつある昨今は、電力会社やエネルギーサービスを提供する事業者だけでなく需要家にも意識の変化が生まれています。
そこで、経済産業省は1月25日、第44回電力・ガス基本政策小委員会で今後の電力小売に関する政策の議論をスタートしました。脱炭素ニーズの高まりを受け、小売電気事業者などが果たすべき役割と需要家の保護を改めて検証することを目的としたものです。
こうした議論が始まったことから、エネルギーサービスにも需要家保護の観点がより一層重視されるようになると考えられます。当社は、こうした議論の動向も押さえながら、需要家さまにとってメリットがあり、なおかつ持続可能なサービスの提供に努めてまいります。
電気料金の削減や脱炭素対策をお考えの方は、専門知識の豊富な当社スタッフがサポートさせていただきます。どうぞお気軽にお声かけください!
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