相次ぐ「電力需給ひっ迫注意報」、市場価格は連日上限価格に
2022年6月末、東京電力エリアを中心に電力需給がひっ迫し、卸電力市場価格は連日、上限価格の200円/kWhに達しています。そんな中、資源エネルギー庁が最終保障料金の値上げについての議論を再開しました。
東京エリアを中心とする需給ひっ迫と市場高騰
東京エリアでは、急激な気温の上昇などによって、2022年6月27日から厳しい電力需給の状況が続きました。同日の東京の最高気温は、昨年同日より9℃も高い35.7℃。経済産業省は、前日26日から「需給ひっ迫注意報」を発出し、無理のない節電への協力を呼びかけていました。
こうした状況は6月30日まで続き、特に、29日夜から30日朝にかけては、複数の火力発電所でトラブルが重なったことも報告されています(なお、トラブルについては『姉崎5号機(ガス 60万kW)は午前中、勿来(なこそ)9号機(石炭 60万kW、うち東京分30万kW)は夕方前を目途に復旧見込み』と報じられました)。
緊迫した電力需給の中、日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格も、異常なほどの高騰を見せています。東京電力エリアのスポット市場では、同27日、平常時の上限価格である80円/kWhを記録し、同29〜30日にかけては、夕方の時間帯で需給ひっ迫時の上限価格200円/kWhを叩き出しています。
出典)日本卸電力取引所WEBサイト「スポット史上取引結果」より筆者作成
さらに、東京電力エリアの高騰に引っ張られる形で、他のエリアでも価格が上昇し、特に30日には、ほとんどのエリアで80〜100円/kWhを超えるという状況に陥りました。
このような市場価格の暴騰は、7月に入ってもしばらく続くと予想されます。小売電気事業者の事業運営にとって、極めて厳しい状況が長引くことは想像に難くありません。
最終保障料金の値上げタイミングはエリア別に異なる見通し
さて、資源エネルギー庁の電力・ガス基本政策小委員会は6月30日、最終保障料金についての議論を再開しました。これは、電力・ガス取引監視等委員会の制度設計専門会合において議論されていた内容を引き継いだものです。
最終保障料金については、市場価格に連動して毎月単価を見直すという方向で、実質的な値上げのための議論が進められているところです。なお、最終保障料金の値上げについては、こちらの記事で詳しくご紹介しております。ぜひ合わせてご覧ください。(リンク:最終保障料金、毎月の「エリアプライスを反映」で見直し案固まる | REiVALUE Blog)
今回の議論によると、最終保障料金の値上げについて「旧一電小売が、標準メニューでの受付再開の見通しの立たないままに、一般送配電事業者による最終保障供給料金の改定のみが行われることは、こうした需要家保護の観点から望ましいとはいえない」とし、各エリアで現在、新規受付が停止されている標準メニューについて、再開の見通しが立った旧一般電気事業者(旧一電)から、値上げに踏み切るという方向性が示されました。
値上げスケジュールに関しては、まだはっきりとした見通しが出ていませんが、今回の議論によって、値上げに踏み切るタイミングは各エリアで異なることが予想されます。
現在、東北電力や中部電力ミライズなどでは、法人向けでは市場価格に連動する料金メニューしか新規申込を受け付けていないとみられ、早期の標準メニューでの受付再開が期待されます。本ブログでは、こうした受付再開などの見通しについても逐次お知らせしてまいります。
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