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2022.12.01ニューストータルエネルギーソリューション再エネ調達

改正省エネ法、自動車業の非化石エネ目標「使用電気の6割」へ

資源エネルギー庁は11月22日、2023年度の改正省エネ法について、非化石エネルギーへの転換の目標に関する議論を行いました。今回、セメント製造業と自動車製造業の2業種について目標値の目安案が示されました。この記事では、どのような数値が提示されたのかについて解説します。



エネルギー多消費の2業種の目安案を提示

2023年度の省エネ法改正では、事業者全体のエネルギー使用量が年間1,500キロリットル(原油換算値)の特定事業者に対して、非化石エネルギーへの転換目標を定めることが決まっています。法改正の初年度である2023年度は、まず、エネルギー消費量の多い5業種(鉄鋼業・化学工業・セメント製造業・製紙業・自動車製造業)に対してこの目標値を設定する方向性が示されていました。

 

11月22日の資源エネルギー庁・第3回工場等判断基準ワーキンググループでは、セメント製造業と自動車製造業の2業種について目標値の目安が提案されました。それぞれの目安案は次の通りです。

 

セメント製造業の非化石転換の目安案

(非化石転換の定量目標の目安(案):①セメント製造業。出典:総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会 2022年度第3回工場等判断基準ワーキンググループ 資料4『改正省エネ法に基づく措置について』より抜粋)

 

セメント製造業については「2030年度における、キルン(焼成工程)における燃料の非化石比率を28%(案)とする」目安案が提示されました。キルンとはセメントの製造に用いる回転窯で、セメント製造工程全体で出るCO2排出量の約9割がこの工程で発生しているとのことです。現在、キルンにおける燃料の非化石割合は業界平均で21%とされており、これを2030年度までに28%に引き上げるという目安案です。

 

自動車製造業の非化石転換の目安案

(非化石転換の定量目標の目安(案):②自動車製造業。出典:総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会 2022年度第3回工場等判断基準ワーキンググループ 資料4『改正省エネ法に基づく措置について』より抜粋)

 

今回の案では「2030年度における、使用電気全体に占める非化石電気の割合を59%とする」目安案が示されました。これは、購入した電気など外部調達分と自家発電分の合計で59%を目指すという意味です。

 

現状、自動車製造業における購入した電気に占める非化石電気の割合は約27%だとされています(自家発電分を含めた非化石割合は開示されていません)。2030年度に59%という割合は、第6次エネルギー基本計画に掲げるエネルギーミックス(電源構成)と同程度であり、非常に野心的な目標だとされました。

(第6次エネルギー基本計画における電源構成。出典:資源エネルギー庁『第6次エネルギー基本計画の概要』より抜粋)

 

2023年度からすべての業種に計画作成求める

セメント製造業・自動車製造業の目標の具体化、残る3業種の目安案については、12月に開催予定の同ワーキンググループで議論される見込みです。技術的なハードルや課題があるものの、第6次エネルギー基本計画における2030年度の非化石比率59%という目標値が一つの基準になりそうです。また、5業種以外の業種については、2023年度は非化石エネルギーへの転換目標は定めないが、すべての特定事業者に対して中長期計画書の作成を求めるとされました。

 

これまでの省エネ法改正についての議論のポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。(参考:改正省エネ法、デマンドレスポンスの実施回数も評価に組み込む方向 | REiVALUE Blog本ブログでは、今後も省エネ法改正の動向を逐次お届けしてまいります。なお、本記事の内容は2022年11月22日の工場等判断基準ワーキンググループの検討結果を参照したものであり、議論の動向によっては変更の可能性があります。

 

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