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長期脱炭素電源オークション、初回は976.6万kWが約定。他市場収益の還付額が焦点に

電力広域的運営推進機関(広域機関)は2024年4月26日、長期脱炭素電源オークションの初回の約定結果を公表しました。約定総容量は、脱炭素電源とLNG専焼火力を合わせて976.6万kW、約定総額の合計は4,102億円/年でした。電源方式別・エリア別の約定結果や、容量確保契約金額について詳しく解説します。



蓄電池・揚水に応札が多数

(長期脱炭素電源オークション(応札年度:2023年度)の約定総容量、約定総額。出典:電力広域的運営推進機関

 

容量市場における長期脱炭素電源オークションの2023年度の約定総容量は、脱炭素電源が401.0万kW、そのうち蓄電池・揚水が166.9万kW、既設火力の改修が82.6万kWでした。落札容量が脱炭素電源の募集容量の総量に満たなかったことから、空き枠の40万kWで蓄電池・揚水の超過容量が補てんされました。一方で、LNG専焼火力の約定総容量は575.6万kWでした。



発電方式によって落札率にばらつき

(発電方式別の応札容量・落札容量。出典:電力広域的運営推進機関

 

発電方式別に見ると、応札容量に対する落札容量の割合・落札率が低かったのは蓄電池。455.9万kWの応札に対して、落札容量は109.2万kWで、落札率はわずか24%でした。揚水は、応札容量が83.8万kWだったのに対して、落札容量は57.7万kW、落札率は69%でした。

 

その一方で、水素・アンモニア混焼火力(改修)、バイオマス専焼、原子力、LNG専焼火力は落札率100%となりました。また、落札容量のうち、新設が56%、リプレースが35%でした。


(エリア別の応札容量・落札容量。出典:電力広域的運営推進機関

 

エリア別に見ると、四国を除くエリアで落札容量を超える応札があり、特に、九州は落札容量の3倍を超える応札がある激戦区となりました。

 

他市場の収益還付後の約定額が焦点に

約定総額は、脱炭素電源が2,336億円/年、LNG専焼火力が1,766億円/年。ただし、長期脱炭素電源オークションの落札電源には、スポット市場や非化石価値取引市場など、他の市場での収益の9割を還付するというルールが定められています。

 

約定総額から還付額を差し引いたものが容量確保契約金となり、小売電気事業者が容量拠出金として負担することになります。容量拠出金が電気料金に反映されれば、最終的に需要家が支払うことになるでしょう。

 

約定総額から推定の還付額(過去3年平均)を差し引いた金額は、脱炭素電源が706億円/年、LNG専焼火力がマイナス1,343億円/年と試算されました。いずれも、約定総額から大幅な減額となり、LNG専焼火力では推定還付額が約定額を上回りました。ただし、広域機関は、今回の還付額はあくまで推定であり、実際の還付額とは異なるとしており、実際の還付額がどうなるかが今後の焦点です。

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