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第7次エネルギー基本計画の策定に向け検討を開始、経産省

経済産業省は、エネルギー政策の基本方針である第7次エネルギー基本計画の策定をスタートしました。カーボンニュートラルの達成に向けてどのような論点があるのか、今後の検討のポイントについて考察します。



再エネ最大限導入が盛り込まれた第6次計画

現行の第6次エネルギー基本計画は、当時の菅首相が「2050年カーボンニュートラル宣言」を発した翌年の2021年10月に策定されました。これを受けて、2030年のエネルギーミックス(電源構成)では、再エネの割合が36〜38%とされ、水素やアンモニア、原子力を含めた脱炭素電源の割合は、合計で57〜61%と野心的なものになりました。

 

また、電源構成ほど注目度が高くはありませんが、省エネの目標が大幅に引き上げられたことも、特筆すべき点です。第5次計画では、省エネの目標値(原油換算)が5,030万kLだったのに対し、第6次計画では6,200万kLに積み増しされました。これを受けて、省エネ法が抜本的に改正されたことも、記憶に新しいでしょう。(参考:経済産業省・資源エネルギー庁『エネルギー基本計画について』)



国内外の電気需要をめぐる状況把握を開始

経済産業省・資源エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会は2024年5月、第7次エネルギー基本計画の策定に着手しました。これまでの検討会では、足元の電気の需給状況の把握が進められています。

 

近年、デジタル化の流れを受けて、データセンターの建設が活発化しています。データセンターは、24時間にわたって大量の電気を消費します。こうした理由から、今後、日本全体の電気の需要は拡大すると予想されています。その一方で、電気の供給に関しては、ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の緊迫化などの地政学リスクを踏まえることが引き続き重要であると指摘されました。



GXを経済振興の起爆剤にできるか

欧米では、グリーントランスフォーメーション(GX)によって新たな投資を促すための政策が打ち出されています。例えば、米国では、2022年にインフレ削減法を施行し、国が約50兆円の支援を行って蓄電池セルなどの投資を促しています。

 

EUでは、2023年からグリーン・ディール産業計画が始まるなど、官民で約140兆円の投資が予想されています。また、2026年からは、欧州国境炭素調整措置(CBAM)や、欧州電池規則という新たな規制が導入される見通しであり、域内の再エネ自給率を高める動きが強まる見通しです。

 

こうした国内外の状況を踏まえて、資源エネルギー庁は、年内にも第7次エネルギー基本計画の素案をまとめるとしています。カーボンニュートラルという長期的な目標を達成することはもちろん、エネルギーの安全保障や経済促進策も非常に重要なテーマです。第7次エネルギー基本計画がどのようにこれらの難題をクリアするのか、引き続き注目していきます。

 

(参考:経済産業省・資源エネルギー庁 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会

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