経済産業省・資源エネルギー庁は2025年4月1日、FIP発電所などに併設する蓄電池が増加する中、蓄電池に充電した電気の非化石価値の取り扱いについて議論を開始しました。併設型蓄電池におけるFIPプレミアムの算定ルールと同様の算出方法とする方向性が打ち出されました。
「FIP転」と蓄電池併設の動きが活発化
2025年4月から、FIP(フィード・イン・プレミアム)制度を適用中の発電所に併設した蓄電池について、系統から充電することが新たに認められるようになりました。FIP発電所に蓄電池を設置すると、売電のタイミングを調整してより多くのインセンティブを得られる可能性があることから、FIT(固定価格買取)制度からFIP制度へ移行し、蓄電池を併設する動きが出ています。
また、2026年度からは、再エネ電源における出力制御の順番が「FIT→FIP」になる見通しです。こうした優先給電ルールの変更の動きを受けて、FITからFIPへの移行、いわゆる「FIP転」を行う事例が増えています。
併設型蓄電池の非化石価値、計測の方法に課題
このような背景から、資源エネルギー庁は2025年4月1日、第101回制度検討作業部会で、FIP発電所に併設された蓄電池に、系統から充電する場合の非化石価値の取り扱いを議論しました。
現在、非FITの非化石電源の電力量を算定する際には、一般送配電事業者が把握している電力量データに基づいて非化石証書を発行しています。しかし、発電所に併設された蓄電池に系統から充電する際、一般送配電事業者の電力量データでは、蓄電池に充電された電力量を太陽光発電からのものと、系統からのものに区別して計量するのは難しいのが現状です。
FIPプレミアムの算定ルールを非化石価値にも適用へ

(再エネ発電設備に併設される蓄電池に系統充電された場合の非化石価値。出典:資源エネルギー庁)
そこで、制度検討作業部会では蓄電池からの放電量(①)を、系統からの充電量(②)と太陽光発電からの充電量(③)のうち、太陽光発電からの充電量の値(③)の割合で按分した値を、非化石価値として取り扱う案を提示しました。
前例となったのは、FIP制度におけるプレミアムの取り扱いルールです。同様の考え方に基づいて、蓄電池からの放電量のうち、太陽光発電に由来する電力量の割合が設定されています。この案に対して、制度検討作業部会の委員やオブザーバーから特に反対する意見はなく、概ねこの方向性で進むものと考えられます。
(参考:第101回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会 制度検討作業部会)
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